不動産会社のCMO代行|集客代行との違いと月額の内訳

不動産会社のCMO代行|集客代行との違いと月額の内訳

この記事の要点

  • 集客代行は施策の実行、CMO代行は予算配分と施策の判断まで任せる契約
  • 月額は判断・実行・ツール費で決まり、広告費とポータル掲載料は別枠
  • 反響の定義とアカウントの名義など、契約前の確認8項目を本文に掲載

不動産会社のCMO代行と集客代行の違いは、「どの施策にいくら使うか」を誰が決めるかです。集客代行はポータルサイトの掲載や広告運用などの作業を引き受けます。CMO代行はそれに加えて、予算の配分・施策の優先順位・反響の目標を決め、経営者に毎月報告します。月額は、この判断にかかる工数と、実行作業まで含めるかどうかで大きく変わります。

売買仲介や賃貸仲介の会社で、集客の判断を担う担当者がいない経営者・役員の方に向けた記事です。読み終わる頃には、受け取った見積もりを「判断・実行・ツール費」に分けて、自社の状況と照らして比べられる状態を目指します。

ポータルサイトの掲載作業や広告運用など、作業の外注にかかる費用と確認点は不動産の集客代行で任せる作業と費用の内訳で解説しています。この記事では、戦略づくりと社内の判断をどこまで外部に任せるかを扱います。

Contents / 目次
  1. 不動産のCMO代行と集客代行の違いは「判断を任せるか」
  2. CMO代行に任せる作業と、社内に残る作業
  3. 不動産のCMO代行の月額の内訳と、金額が変わる条件
  4. 契約前に確認する8項目と、代行会社への質問文
  5. 不動産のCMO代行がうまくいかない条件
  6. 不動産のCMO代行のよくある質問

不動産のCMO代行と集客代行の違いは「判断を任せるか」

CMO代行とは、CMO(最高マーケティング責任者)が担う集客の方針づくりと予算の判断を、外部の専門家に任せる契約です。集客代行は、決まった方針のもとで、ポータルサイトの物件掲載・リスティング広告・SNS投稿などの作業を引き受けます。同じ「代行」でも、任せているものが判断か作業かで、月額も社内に求められることも変わります。

比べる項目集客代行CMO代行
決めること依頼された施策の設定と運用施策の優先順位・媒体ごとの予算配分・反響の目標
毎月の報告媒体ごとの表示回数・クリック数・反響数反響から来店・契約までの数字と、翌月の予算の案
打ち合わせの相手現場の担当者経営者・役員
実行作業含む実行まで含む契約と、判断だけの契約がある
向いている会社使う媒体と予算がすでに決まっている媒体ごとの予算の配分を決める担当者がいない

見分ける質問は1つです。「来月、ポータルサイトの掲載料を減らして広告に回すべきか」を誰が提案するか。代行会社が数字を根拠に提案し、経営者が承認するならCMO代行です。社内で決めて代行会社に伝えるなら、集客代行で足ります。

反響の件数は足りているのに契約が増えない場合は、CMO代行を検討する前に、反響から来店・契約までのどこで止まっているかを先に確認します。初回連絡までの時間や追客の回数に原因があれば、集客の判断を外部に任せても契約の数は変わりにくいためです。CMO代行が力を発揮するのは、ポータルサイト・広告・自社サイト・Googleマップのうち、どこに予算を寄せるかを決められずにいる場合です。

この章の結論。媒体と予算が決まっているなら集客代行、媒体ごとの予算の配分を決める担当者がいないならCMO代行を候補にします。

CMO代行に任せる作業と、社内に残る作業

CMO代行に任せられるのは、数字を見て方針を決める作業と、その実行の管理です。物件の情報と、反響が来たあとの対応は社内に残ります。この分担を契約前に決めておかないと、反響は増えたのに契約の数が変わらない、という状態になります。

作業CMO代行が担うこと社内に残ること
媒体ごとの予算配分と翌月の施策数字を根拠に案を作る最終の承認
反響・来店・契約の数字の集計集計と分析来店と契約の結果の記録
ポータルサイトの物件登録・写真・説明文掲載の方針と品質の確認物件情報の入力と更新
広告・自社サイト・Googleビジネスプロフィールの運用実行込みの契約なら設定と調整店舗の写真や営業時間の変更の連絡
反響への初回連絡と追客対応の文面の型と、連絡までの目標時間の設計電話・メール・内見の案内
成約済み物件の掲載の取り下げ確認の流れづくり成約の連絡と掲載停止の確認

社内に残る作業のうち、反響への初回連絡の速さは、外部からは変えにくい数字です。反響が届いた時刻と初回連絡の時刻を毎月の報告に入れてもらうと、契約が増えない原因が集客にあるのか、社内の対応にあるのかを切り分けられます。

媒体の判断は外部の力を借りつつ、いずれは社内で回せるようにしたい場合は、毎月の数字から施策を決めるマーケティング伴走支援「マーケの右腕」で、実施した内容と判断した理由を毎月記録し、その記録と作業手順を社内の担当者へ引き継ぐ方法もあります。自社で行う作業と外部に依頼する作業の分け方は、Web広告の内製化と外注の役割分担5モデルも参考になります。

この章の結論。物件情報と反響後の対応は社内に残るので、契約前に「誰が・いつまでに行うか」を上の表の形で書き出し、代行会社と共有します。

不動産のCMO代行の月額の内訳と、金額が変わる条件

CMO代行の月額は、判断の工数・実行の作業・ツール費の3つでできています。広告費とポータルサイトの掲載料は、代行会社への月額とは別に、媒体へ支払う費用です。見積もりの金額を比べる前に、この3つのうちどれが含まれているかをそろえます。

内訳中身金額を左右するもの
判断の工数定例会議、数字の分析、翌月の施策と予算の案会議の回数、見る媒体の数、店舗数
実行の作業広告の設定と調整、物件ページやLPの修正、Googleビジネスプロフィールの投稿実行を含むか、媒体の数、制作物の本数
ツール費顧客管理(CRM)、電話の反響の計測、レポートの作成自社で契約するか、代行会社の契約を使うか
媒体に直接払う費用(月額の外)広告費、ポータルサイトの掲載料物件数、エリア、掲載の枠

固定・料率・成果報酬で、総額はどう変わるか

料金の形は、毎月同じ額の固定型、広告費の一定割合を払う料率型、反響の件数に応じて払う成果報酬型に分かれます。料率型は広告費が増えるほど手数料も増えるので、「広告費を減らしてポータルサイトに寄せる」という提案が出にくい形です。予算の配分そのものを任せるCMO代行では、固定型のほうが提案の中立性を保ちやすくなります。

成果報酬型は、反響に何を数えるかで金額が大きく変わります。資料請求・物件の問い合わせ・来店予約を同じ1件と数えるのかを、契約前に書面で決めます。固定型と料率型の総額の出し方は、広告運用代行の費用の固定と料率の違いで詳しく比べています。

月額が見合うかを自社の数字で計算する

見合うかどうかは、相場ではなく自社の数字で判断します。次は、仮の数字を置いた計算例です。

  1. 売買仲介の1件あたりの仲介手数料を、仮に100万円とする
  2. 反響から契約に至る割合を、仮に3%とする
  3. CMO代行の月額と広告費・掲載料を合わせた月の総額を、仮に60万円とする
  4. 総額を回収するには月0.6件の契約が必要で、反響に直すと月20件(0.6÷0.03)が目安になる

この「月20件」を見積もりの場で示し、「この件数を増やせる根拠は何か」を代行会社に質問すると、提案の中身を比べられます。目標の獲得単価を粗利と成約率から決める方法は、CPAを粗利と受注率で逆算する方法にまとめています。

この章の結論。見積もりは「判断・実行・ツール費」に分けて比べ、広告費と掲載料は別枠で見ます。月額が見合うかは、回収に必要な反響の件数で判断します。

契約前に確認する8項目と、代行会社への質問文

契約前に確認するのは、反響の定義、アカウントの名義、報告の中身、解約時の引き継ぎです。項目にすると次の8つになります。

  • 反響の定義:資料請求・物件の問い合わせ・来店予約のどれを1件と数えるか
  • 来店と契約の記録:反響が契約につながったかを、誰がどこに記録するか
  • アカウントの名義:Google広告・GA4・Googleビジネスプロフィールを自社の名義で持てるか
  • 予算変更の承認:媒体ごとの予算を変えるとき、誰の承認が必要か
  • 報告の中身:媒体ごとの反響数に加えて、来店・契約までの数字が出るか
  • 実行作業の有無:月額に、広告の調整や物件ページの修正が含まれるか
  • 広告表示の確認:物件の説明文や広告文を、不動産の表示に関する公正競争規約と照らして誰が確認するか
  • 契約期間と引き継ぎ:最低契約期間と、解約後に設定の一覧とデータを受け取れるか

見積もりを依頼するときは、次の文面をそのまま送れます。

CMO代行のお見積もりについて、次の点を確認させてください。
1. 月額に含まれる作業を「判断(会議・分析)」「実行(広告・ページの修正)」「ツール費」に分けて教えてください。
2. 毎月の報告では、反響から来店・契約までの数字を出していただけますか。反響の数え方も教えてください。
3. Google広告・GA4・Googleビジネスプロフィールは、自社の名義のアカウントで運用できますか。
4. 媒体ごとの予算を変える提案は、どの数字を根拠にしていますか。
5. 解約するとき、設定の一覧とデータをどの形式で受け取れますか。
6. 最低契約期間と、解約の申し出の期限を教えてください。

反響を契約まで追えるかが、予算判断の前提

Google広告の自動入札は、クリックやコンバージョン(成果)につながる可能性をもとに、入札単価を設定する仕組みです(Google 広告 ヘルプ「自動入札機能について」)。

入札に使われるのは、「メイン」に設定したコンバージョン アクションです(Google 広告 ヘルプ「メインとサブのコンバージョン アクションについて」)。「コンバージョン数の最大化」はコンバージョンの数を重視して入札するため、資料請求と来店予約をどちらもメインにすると、来店予約を重く見た入札にはなりません。成果ごとの価値の差を入札に使うには、コンバージョン値を設定し、「コンバージョン値の最大化」などの価値に基づく入札戦略を選びます(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン値について」)。来店予約だけをメインのコンバージョンにするか、成果ごとに価値を分けて設定するかを、代行会社と決めます。来店や契約をあとから成果として取り込む設定は、Google広告で商談を計測するオフラインコンバージョンの手順で解説しています。

アカウントの名義も確かめます。Google広告のアカウントを代行会社のクライアント センター(MCC)アカウントから作る場合は、自社のアカウントにも管理者の権限が付くかを確かめます。アカウントの管理者権限を持つユーザーは、いつでもMCCアカウントとのリンクを解除できます(Google 広告 ヘルプ「Google 広告 MCC アカウントについて」)。解約時にリンクを外して自社で運用を続けられるかを、契約前に代行会社へ書面で確認します。切り替えの手順は広告代理店を変更するときのアカウント引き継ぎにあります。

この章の結論。反響の定義とアカウントの名義が決まっていないと、CMO代行の予算判断も解約後の運用も成り立ちません。この2つは見積もりの金額より先に確認します。

不動産のCMO代行がうまくいかない条件

不動産のCMO代行がうまくいかないのは、外部の判断と社内の物件・反響の対応がつながっていない場合です。不動産の集客に特有の条件を4つ挙げます。

反響の件数だけを目標にすると、来店につながらない反響が増える

成果報酬や毎月の目標を反響の件数だけで決めると、一括の資料請求のように件数を取りやすい反響が増えます。報告上の件数は伸びても、来店と契約が増えないため、予算を増やすべきかを判断できません。目標は来店予約の件数か、反響から来店に至った割合と組にして決めます。

成約済みの物件が掲載に残ると、おとり広告と判断されるおそれがある

不動産の表示に関する公正競争規約は、第21条で、実際には取引できない物件などの広告(おとり広告)を禁止しています。不動産公正取引協議会連合会のおとり広告ガイドラインは、成約済みの物件の広告をおとり広告の例に挙げ、インターネット広告の情報の更新は最長でも2週間ごととし、その間に契約済みと分かった物件はすみやかに削除するよう求めています。規約の本文は、同連合会の公正競争規約の紹介のページで公開されています。

物件が成約したことを最初に知るのは社内の担当者で、CMO代行の会社ではありません。成約から掲載停止までの流れが無いと、反響を増やす施策が規約に反する掲載を長く残す結果になります。

防ぐために、次の2つを社内で決めます。

  • 成約を登録した日に、掲載停止を確認する担当者
  • 掲載中の物件の取引状況を最長でも2週間ごとに確かめ、毎月の報告でも「掲載中の物件のうち成約済みのもの」を確認する手順

反響への初回連絡が遅いと、広告の改善が数字に出ない

夜間や定休日に届いた反響に翌営業日まで連絡しない状態では、代行会社が広告を改善しても来店の割合が上がらず、施策の良し悪しを判断できません。自動返信では受け付けたことだけを伝え、内見の日程は担当者が連絡する、と分担を決めます。初回連絡までの時間を毎月記録すると、広告の改善と社内の対応のどちらが効いたかを分けて見られます。

広告文を規約と照らす担当がいないと、根拠のない用語が掲載に残る

AIで物件の説明文や広告文の下書きを作る場合も、規約を守る責務は広告をする不動産会社にあります(規約第2条)。広告制作の依頼を受けた広告会社等も、規約の趣旨にのっとった広告を制作するよう努めることとされています(第3条)。

公正競争規約は、特定用語の使用基準(第18条第2項)で、「完全」「最高」「格安」などの用語は、表示の内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に持っている場合を除き、使ってはならないと定めています。「最高」のような最上級を意味する用語と、「格安」のような著しく安いという印象を与える用語は、根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使えます(不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則)。

宅地建物取引業法も第32条で、物件の所在・規模・形質や代金などについて、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させる表示を広告でしてはならないと定めています(e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」)。

CMO代行の会社がAIで広告文を作る場合は、公開前に誰が規約と照らすかを契約前に決めます。

反響の件数は、市場の状況や物件の条件に左右されます。「反響○件を保証」とうたう提案は、反響の数え方と、達成できなかったときの扱いを書面で確かめてください。

この章の結論。目標を来店まで含めて決め、成約の連絡と初回連絡の時間を社内で記録できれば、CMO代行の判断が契約の数につながります。

不動産のCMO代行のよくある質問

不動産のCMO代行は、月額いくらまでなら見合いますか?

上限は、自社の仲介手数料と反響から契約に至る割合で決まります。月の総額を回収するのに必要な契約数を出し、それを反響の件数に直します。その件数を増やせる根拠を説明できる提案かどうかで、見積もりを比べます。

ポータルサイトの掲載料も、CMO代行の月額に含まれますか?

掲載料と広告費は、媒体へ直接払う費用で、代行会社への月額とは別です。代行会社を通して支払う形の場合は、掲載料に手数料が上乗せされていないかを見積もりの段階で確認します。

賃貸と売買の両方を扱っていても、1社のCMO代行に任せられますか?

任せられますが、目標は分けて決めます。売買は反響から契約までの期間が賃貸より長く、1件の手数料も違います。同じ反響単価で比べると、売買の予算が削られやすくなるため、報告も賃貸と売買を分けて出してもらいます。

CMO代行を途中でやめて、社内で集客を回すことはできますか?

アカウントが自社の名義で、判断の理由が毎月の報告に残っていれば可能です。解約の申し出の前に、設定の一覧・過去の報告・反響の記録を受け取る日を決めておくと、翌月から社内の担当者が同じ数字を見て判断できます。

まずは直近3か月の反響の件数を、ポータルサイト・広告・電話など経路ごとに書き出してみてください。経路ごとの数が分かると、見積もりで何を任せるかを決めやすくなります。すでに代行会社に依頼していて数字が伸びない場合は、広告運用代行で成果が出ないときに確認する数字から読むと原因を切り分けられます。

媒体ごとの予算をどう決めるかで止まっている場合は、コレットラボのマーケティング伴走支援「マーケの右腕」にご相談ください。ホームページ・検索・SNS・広告の数字を確認して必要な施策を決め、ページの改善や広告の調整まで担当します。ポータルサイトの掲載の見直しなど、ほかの作業をご希望の場合は、初回のご相談で伺います。

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