美容クリニックのMEO対策|症例写真の掲載条件と口コミ返信の分担
美容クリニックのGoogleマップ対策(MEO対策)では、症例写真を載せたい、口コミに丁寧に返信したいと考えても、医療広告の決まりがあるため、一般の店舗と同じ方法は使えません。症例写真をどこまで載せてよいのか、口コミへの返信を誰が書き、誰が確認するのか。この2つを決めないまま運用を始めると、担当者ごとに判断が分かれます。
この記事では、厚生労働省の「医療広告等ガイドライン」とQ&Aの原文をもとに、症例写真(ビフォーアフター写真)を掲載できる条件、Googleビジネスプロフィールで避ける載せ方、口コミ返信の担当の分け方と返信文の例を説明します。
Contents / 目次
症例写真はホームページの症例ページへ、口コミ返信は確認者を決めて分担
結論から書きます。症例写真は、治療内容・費用・リスク・副作用の説明を同じページに並べて載せられる、自院ホームページの症例ページに載せます。Googleビジネスプロフィールには症例写真を載せません。口コミへの返信は、下書きを書く担当者と、医療の表現を確認する担当者を分けます。
ガイドラインの正式な名前は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」です。原文は厚生労働省の医療広告規制のページから確認できます。ガイドラインは改正されることがあるため、掲載の前に最新の版を確認してください。
掲載先ごとの扱いは、次の表のとおりです。
| 掲載するもの | 自院ホームページ | Googleビジネスプロフィール | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 症例写真(術前・術後) | 限定解除の要件を満たし、詳細な説明を写真の近くに付ければ掲載できる | 載せない(説明を写真と一体で示せない載せ方になりやすい) | 医療広告等ガイドライン(禁止される広告の具体例、広告可能事項の限定解除の要件) |
| 術前だけ・術後だけの写真 | 術前術後の写真と同じ扱い | 載せない | 医療広告等ガイドラインに関するQ&A |
| 患者の口コミ・体験談 | 転載・抜粋して掲載しない | 患者が自分で投稿した口コミは、医院が費用負担などで依頼していなければ広告に当たらない | 医療広告等ガイドライン(広告の定義、体験談の禁止)、Q&A |
| 口コミへの返信 | ― | 治療の効果・施術名・来院の事実を書かない | 治療の効果:医療広告等ガイドラインに関するQ&A(治療効果は広告可能事項ではない)/施術名・来院の事実:守秘義務と個人情報への配慮による院内の運用ルール(ガイドラインの規定ではない) |
この章で押さえるのは、症例写真は掲載先をホームページの症例ページに限り、口コミの扱いは「患者が投稿したもの」と「医院が掲載・返信するもの」に分けて考える、という2点です。
症例写真(ビフォーアフター写真)を掲載できる条件
写真だけの掲載は認められない
医療広告等ガイドラインは、治療等の内容や効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真(いわゆるビフォーアフター写真)を、広告として認めていません。個々の患者の状態によって治療の結果は異なるためです。
ガイドラインの具体例には「術前又は術後(手術以外の処置等を含む。)の写真やイラストのみを示し、説明が不十分なもの」が挙がっています。Q&Aも、術前のみ・術後のみの写真について、前後の写真と同様に広告できないと答えています(医療広告等ガイドラインに関するQ&A)。
写真の近くに書く説明の項目
ガイドラインは、術前または術後の写真に、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項と、治療等の主なリスク・副作用等に関する事項の詳細な説明を付けた場合は、禁止される写真に当たらないとしています。症例ページの1枚ごとに、次の項目を書きます。
- 治療内容:施術の名前と、通常必要とされる治療の内容
- 費用:標準的な費用。明確でなければ、最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む)まで
- 治療期間と回数:通常必要とされる期間と回数
- 主なリスク・副作用:その治療で起こりうる主なもの
- 問い合わせ先:電話番号やメールアドレス
説明の載せ方にも決まりがあります。ガイドラインは、説明をリンク先のページに載せる形式や、利点・長所の情報と比べて極端に小さな文字で載せる形式を採用してはならないとしています。「詳細はこちら」のリンクで別ページに送る作り方は使えません。
加工した写真と撮影条件を変えた写真
ガイドラインは、効果があるかのように見せるために加工・修正した術前術後の写真を「虚偽広告」として扱います。撮影条件や被写体の状態を変えて撮った写真で効果を強調することは「誇大広告」として扱います。虚偽広告は医療法第6条の5第1項で禁じられ、違反には罰則があります(医療法第87条。条文はe-Govの医療法で確認できます)。
照明・角度・化粧の有無・撮影までの日数を、術前と術後で同じにして撮ります。肌の補正やフィルターは使いません。撮影の条件を記録する表を作り、施術ごとに担当者が記入すると、掲載前に確認できます。
限定解除の4つの要件
治療の効果に関する事項は、広告できる事項に入っていません(医療広告等ガイドラインに関するQ&A)。そのため、症例写真を載せられるのは「広告可能事項の限定解除」の要件を満たした場合だけです。ガイドラインの「広告可能事項の限定解除の要件」の項目は、次の①〜④をすべて満たすことを求めています(③と④は自由診療の場合)。
- 医療に関する適切な選択に役立つ情報で、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
- 表示する情報について、患者等が容易に問い合わせできるよう、問い合わせ先を記載するなどして明示すること
- 自由診療の、通常必要とされる治療等の内容・費用等に関する事項を示すこと
- 自由診療の治療等の、主なリスク・副作用等に関する事項を示すこと
①について、ガイドラインはインターネットのバナー広告や、検索サイトに費用を払って表示されるスポンサー枠などは当たらないとしています。広告から症例ページへ誘導する場合は、広告の文や画像に症例写真を使わないでください。
この章で押さえるのは、症例写真の掲載には「限定解除の要件」と「写真の近くに書く詳細な説明」の両方が必要で、加工や撮影条件の違いは虚偽・誇大広告になる、という点です。
Googleビジネスプロフィールの写真・投稿・返信の扱い
医療広告等ガイドラインに、Googleビジネスプロフィールを名指しした記載はありません。ガイドラインは、次の3つをすべて満たすものを医療広告としています。
- 誘引性:患者の受診等を誘引する意図があること
- 特定性:医療機関の名称が特定できること
- 内容:医業に関する内容であること
Googleビジネスプロフィールには医院の名前が表示されます。医院が自ら登録する写真・投稿・口コミへの返信は、この3つに当たると考えて書くのが安全です。厚生労働省の医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書も、SNSの公式アカウントの「プロフィール」「投稿」「返信」のいずれかに虚偽・誇大・比較優良・体験談などが含まれていれば違反になる、と示しています。
この考え方で、Googleビジネスプロフィールの欄ごとに次のように運用します。
| 欄 | 載せてよいもの | 載せないもの |
|---|---|---|
| 写真 | 外観・待合室・診察室・受付・医師の写真 | 症例写真、術前だけ・術後だけの写真 |
| 投稿 | 休診日・受付時間・予約方法のお知らせ | 症例写真、治療の効果、「今なら○円でキャンペーン実施中」のような費用を強調する文 |
| 口コミへの返信 | 投稿へのお礼、問い合わせ先の案内 | 治療の効果、施術名、来院の事実、患者の個人情報 |
費用を強調する文は、ガイドラインが「品位を損ねる内容の広告」の具体例に「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」を挙げ、厳に慎むべきとしています。Googleビジネスプロフィールに投稿する場合も、この具体例に当たる書き方をしません。
Googleビジネスプロフィールが限定解除の①に当たるかどうかは、ガイドラインに記載がありません。判断に迷う写真や文は載せる前に、医院の所在地の都道府県、保健所設置市または特別区の医療広告の相談窓口に確認してください。窓口は厚生労働省の医療広告相談窓口一覧で探せます。
口コミ返信の分担と返信文の例
担当の分け方
口コミへの返信は、下書き・確認・送信を別の担当者が受け持つと、医療の表現の誤りに気づけます。口コミの種類ごとに、次の表のように分けます。
| 口コミの種類 | 下書き | 確認 | 送信 |
|---|---|---|---|
| 接遇・待ち時間・設備についての評価 | 受付の担当者 | 事務長 | 受付の担当者 |
| 治療の結果・副作用・痛みについての書き込み | 事務長 | 院長または担当医 | 事務長 |
| 料金・説明への不満 | 事務長 | 院長 | 事務長 |
| 事実と異なる書き込み・ポリシー違反の疑い | 返信せず事務長に報告 | 院長 | 削除が必要な口コミとしてGoogleに報告するか判断 |
返信の手順
返信は次の順で進めます。返信の操作はGoogleのヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」で確認できます。
- 新しい口コミを毎週決まった曜日に確認し、上の表で種類を分ける
- 下書きの担当者が、返信文の例をもとに下書きを書く
- 確認の担当者が、治療の効果・施術名・来院の事実・個人情報が入っていないかを確かめる
- 送信の担当者が返信を投稿し、日付と担当者名を記録表に残す
Googleは「すべてのクチコミに対して感謝の意を公開する必要はありません」と説明しています(クチコミを増やすためのヒント)。返信の内容に迷う口コミは、無理に返信しない判断もできます。
返信文の例
次の例は、治療の効果・施術名・来院の事実に触れない書き方です。口コミの内容に合わせて、お礼の言葉を変えて使います。
高い評価の口コミへの返信
「ご投稿ありがとうございます。いただいたお言葉は院内で共有いたします。ご不明な点がございましたら、受付までお気軽にお問い合わせください。」
不満が書かれた口コミへの返信
「ご投稿ありがとうございます。いただいたご意見は院内で共有いたします。個別のご事情はこちらでお答えできないため、お手数ですが、当院のプロフィールに記載の電話番号から受付までご連絡ください。」
返信では、次の表現を使いません。治療の効果を書かない理由はガイドラインにあります。来院の事実と謝罪の文を避けるのは、守秘義務と個人情報への配慮から当記事がすすめる運用で、医療広告の規制ではありません。
- 「効果を実感していただけて」「〇〇の施術でご満足いただけて」:医院自身が治療の効果を伝える文になります。治療の効果は広告できる事項ではありません(医療広告等ガイドラインに関するQ&A)。
- 「ご来院ありがとうございました」:投稿者が患者であることを、医院が公開の場で認める文になります。守秘義務と個人情報への配慮から使いません。
- 「ご不快な思いをおかけしました」:医院での出来事を認めたと読まれるおそれがあります。同じ配慮から、返信には入れません。
自院で行う作業と依頼する作業
返信の確認と、治療の結果に関する口コミへの対応は、院長または担当医が判断する作業なので、医院の中に残します。外部に依頼できる作業は次のとおりです。
- 接遇の口コミへの返信の下書き
- 新しい口コミの確認
- 休診日のお知らせの投稿
- 記録表の更新
ガイドラインのQ&Aは、医療広告の規制は何人にも適用され、広告を作成した広告代理店等にも是正命令や罰則が科されることがあるとしています。外部に依頼する場合も、返信の確認者は医院の中に置いてください。口コミ返信までのMEO対策の代行では、口コミへの返信文はコレットラボが用意し、医院に内容をご確認いただいてから投稿します。基本情報は1か月目に更新し、その後は表示回数・電話ボタンのタップ・経路検索を毎月確認します。
美容クリニックの口コミ運用で起きやすい失敗
Googleの口コミをホームページに転載する
高い評価の口コミを「患者様の声」としてホームページに載せたくなります。しかしガイドラインは、医療機関が自らのウェブサイト等に掲載する治療等の内容や効果に関する体験談は広告に当たり、禁止されるとしています。事例解説書も、口コミサイトから転載・抜粋した口コミの掲載を禁止の例に挙げています。
Q&Aは、医療機関に有利な感想を選んで掲載するなどして強調することは虚偽・誇大に当たる、としています。口コミをホームページに埋め込む機能や、口コミの抜粋の掲載は使わないでください。
口コミの投稿に特典を付ける
ガイドラインは、患者が個人のSNSや第三者の口コミサイトに投稿した体験談について、医療機関が広告料等の費用負担などの便宜を図って掲載を依頼していない場合(誘引性が無い場合)は広告に当たらないとしています。医院からの依頼に基づく手記や、謝礼を受けている・約束がある手記は、誘引性があるものとして扱うとも書いています。
Googleのポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」も、特典と引き換えにクチコミを依頼することを禁止しています。施術の割引やポイントと口コミの投稿を結び付けないでください。口コミの投稿を患者にお願いするかどうかも、上の誘引性の考え方を踏まえて院長が判断します。
事実と違う口コミに返信で反論する
「そのような説明はしておりません」と返信で反論すると、治療の経過や来院の事実に触れることになります。返信ではお礼と問い合わせ先の案内にとどめ、ポリシー違反の疑いがある口コミは、削除が必要な口コミとしてGoogleに報告するかを院長が判断します。
この章で押さえるのは、口コミを自院の広告に使わない、投稿と特典を結び付けない、返信で治療の内容に触れない、の3点です。
よくある質問
InstagramやSNSの公式アカウントに症例写真を載せてもよいですか
事例解説書は、SNSでもプロフィール・投稿・返信のいずれか、またはその組み合わせで、治療等の内容・費用と主なリスク・副作用の情報が画像の付近に一体的かつ一覧性をもって示されていなければ違反になるとしています。返信で「治療内容・費用、リスク・副作用等の詳細は、当院ホームページでご確認ください。」とホームページのアドレスを示すだけの載せ方は、違反の例として挙がっています。
患者が自分でGoogleに投稿した症例写真は削除を求める必要がありますか
患者が自ら投稿した口コミや写真は、医院が費用負担などで掲載を依頼していなければ、ガイドライン上の広告には当たりません。ただし、その写真や口コミをホームページや医院の投稿で紹介すると、医院が掲載する体験談になります。患者の個人情報が写っているなど、Googleのポリシーに違反する場合は、Googleへの報告を検討してください。
保険診療だけのクリニックでも同じ決まりですか
術前術後の写真と体験談の禁止は、自由診療に限った決まりではありません。限定解除の要件のうち③と④(治療内容・費用、主なリスク・副作用の情報)は、自由診療について情報を提供する場合に求められるものです。保険診療の症例写真を載せる場合も、①と②の要件と詳細な説明は必要です。
まずは自院のGoogleビジネスプロフィールの写真の一覧を開き、症例写真や術後の写真が登録されていないかを確認してください。ガイドラインの範囲で使える集客の方法と費用を比べたい場合は、クリニックの集客方法と費用の内訳も参考になります。
口コミの確認と返信文の下書き、休診日のお知らせの投稿を外部に任せたい場合は、コレットラボのMEO対策・Googleマップ運用の代行にご相談ください。返信文は医院に内容を確認していただいたうえで投稿します。
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