介護施設のGoogleマップ対策|家族の口コミの集め方と任せる範囲
この記事の要点
- 家族への口コミ依頼は面会や説明の後に特典なしで行う。依頼文の例を本文に掲載
- 返信では入居の事実や心身の状態に触れない。返信の型を2つ用意
- 任せてよいのは投稿と返信の下書き。家族への依頼と返信の承認は施設で行う
介護施設のGoogleマップ対策は、施設側で先に2つを決めてから、投稿や返信の下書きを外部に任せる順番で進めると安全です。1つは家族に口コミを依頼する場面、もう1つは返信に書かない情報です。口コミを書くのは、本人よりも見学や面会で施設を見ている家族になりやすく、その家族と顔を合わせるのは施設の職員だからです。
この記事は、Googleマップの運用を外部に任せるか迷っている介護施設の施設長・経営者の方に向けて書いています。読み終わる頃には、自施設で続ける作業とMEO依頼で任せる作業を分けて、見積もりを同じ条件で比べられるようになります。
Googleビジネスプロフィールの登録やオーナー確認の手順は扱いません。まだ済んでいない場合は、先にGoogleビジネスプロフィールのオーナー確認の方法から進めてください。
Contents / 目次
介護施設のGoogleマップ対策で、施設が決めること
外部に任せる前に施設が決めておくことは、次の3つです。
- 家族への口コミの依頼を、どの職員が、どの場面で行うか
- 口コミへの返信を、誰が承認してから公開するか
- 写真・説明文・投稿に、何を載せてよいか
MEOとは、Googleマップなどの地図検索で自社の情報を見つけてもらい、問い合わせにつなげるための取り組みです。Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップや検索結果に出る施設の情報(住所・電話番号・写真・口コミなど)を管理する無料の仕組みです。
ケアマネジャーから施設名を教わった家族が施設名で検索すると、Googleマップの写真と口コミが表示される場合があります。この段階で口コミが0件だったり、不満の口コミに返信が無かったりすると、見学の電話をする前に候補から外れるかもしれません。
外部に任せられる作業と、施設で行う作業の分け方は次のとおりです。
| 作業 | 施設で行うこと | 外部に任せられること | 施設で行う理由 |
|---|---|---|---|
| 家族への口コミ依頼 | 面会や面談の場で依頼する | 依頼文とQRコードの制作 | 家族と会うのは職員だけ |
| 口コミへの返信 | 公開前の最終承認 | 返信の下書き | 入居者の情報に触れていないかは、施設でないと判断できない |
| 写真 | 撮影と、写る方への同意の取得 | 写真の選定・加工・投稿 | 同意書は施設の記録になる |
| 説明文・投稿 | 職員体制や費用の事実確認 | 文案の作成と予約投稿 | 体制や費用は施設しか知らない |
| 数字の記録 | 見学の電話で「何で知ったか」を記録する | 通話数・経路検索数などの月次まとめ | 問い合わせのきっかけは電話口でしか分からない |
| オーナー権限 | オーナーは施設が持つ | 管理者権限で作業する | 解約しても管理を続けられる |
この章の結論。外部に任せられるのは「文章を作る作業」と「数字をまとめる作業」です。家族と接する作業と、公開してよいかの判断は施設で行う、と決めてから見積もりを取ると比べやすくなります。
家族の口コミの集め方と返信の型
家族の口コミは、施設の説明に家族が納得した直後に、特典を付けずに、QRコード付きの紙で依頼するのが基本です。依頼する場面と依頼しない場面を先に決めておくと、職員が迷わずに済みます。
ステップ1 口コミを依頼する場面を決める
依頼する場面は、家族が施設での様子を知ったあとにします。入居や利用を始めた直後は、家族も書くことがありません。
| 場面 | 依頼するか | 理由 |
|---|---|---|
| ケアプランの説明や面談の後 | 依頼する | 家族がケアの内容と日々の様子を把握している |
| 面会の帰り際 | 依頼する | 施設の雰囲気を見た直後で書きやすい |
| 敬老会など行事の後 | 依頼する(記念品とは別の機会で) | 記念品と一緒だと、特典の条件に見える |
| デイサービスの連絡帳 | 依頼する(紙を同封) | 面会の機会が少ない家族にも届く |
| 看取り・退去の直後 | この時期は依頼しない | 家族の気持ちへの配慮。時期を空ける |
| 判断能力に不安がある入居者本人 | 依頼しない | 投稿の意思を確かめられない |
依頼する家族は選ばず、全家族に同じ方法で依頼してください。判断能力に不安がある入居者本人は、投稿の意思を確かめられないため、表のとおり依頼の対象から外します。
満足していそうな家族にだけ依頼するのは、Googleマップの口コミのポリシーで禁止されている「肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為」に当たります。家族への依頼で避けてよいのは時期だけです。
ステップ2 依頼文とQRコードを用意する
口コミ投稿用のリンクとQRコードは、次の手順で作成します。
- パソコンのブラウザでGoogleビジネスプロフィールを開く(QRコードを作成できるのはパソコンのブラウザだけです)
- 「クチコミを読む」を選ぶ
- 「クチコミを増やす」を選び、リンクまたはQRコードを作成する
手順はGoogle ビジネス プロフィール ヘルプ「リンクまたは QR コードを作成してクチコミをリクエストする」で確認できます。作成したQRコードを、依頼文に載せます。
設置場所はGoogle口コミQRコードの作り方と設置場所で解説しています。
家族向けの依頼文は、次の文面をそのまま使えます。
ご家族の皆さまへ
いつも〇〇(施設名)をご利用いただき、ありがとうございます。
施設を探しているご家族の参考になるよう、
Googleマップへの口コミの投稿をお願いしております。
・投稿は任意です。投稿の有無でサービスが変わることはありません
・良かった点も、気になった点も、率直にお書きください
・ご本人のお名前やご病状は、書かずにお願いいたします
[ここにQRコード]
スマートフォンのカメラで読み取ると、投稿の画面が開きます。
〇〇(施設名) 生活相談員 〇〇
「ご本人のお名前やご病状は書かずに」の一文は、入居者の個人情報が口コミに載るのを防ぐためのものです。評価の高さや感想の中身を指定するものではないため、この例文はそのまま使えます。
注意が必要なのは、「星5つでお願いします」「職員の対応の良さを書いてください」のように評価や感想の中身を頼むことと、投稿を特典と結びつけることです。こうした依頼は、景品表示法のステルスマーケティング規制に触れるおそれがあります。避け方は景品表示法に触れない口コミ依頼文の作り方で詳しく解説しています。
面会のたびに紙を配り、投稿されたかを確かめる作業を、職員の負担を増やさずに続けたいこともあるでしょう。口コミ管理ツールのRevipoは、アンケートのQRコードと、Google口コミの投稿ページへの任意の案内を、月額0円のFreeプランで使えます(Revipoの料金ページ)。こうしたツールを使い、依頼の流れを自施設で回す方法もあります。
ステップ3 返信の型と承認する職員を決める
返信には感謝と施設全体の取り組みだけを書き、入居者の状態や利用の事実には触れない型にします。家族が自分で「母が入居して」と書いていても、返信では入居の事実を認めないようにします。返信は施設が誰でも読める場所に書く文章なので、施設の側から入居者の情報を書き足さないためです。
| 返信に書いてよいこと | 返信に書かないこと |
|---|---|
| 投稿への感謝 | 入居者や家族の名前 |
| 施設全体の取り組み(行事・食事の工夫など) | 病状、介護度、転倒などの出来事 |
| 施設の電話番号や相談窓口 | 「ご入居いただいている〇〇様」など利用の事実を認める文 |
| 今後の改善の方針 | 職員個人の名前 |
返信の型は、感謝の口コミ用と不満の口コミ用の2つを用意します。
【感謝の口コミへの返信】
温かいお言葉をありがとうございます。職員一同の励みになります。
これからも、ご家族が安心して面会にお越しいただける施設であるよう努めてまいります。
【不満の口コミへの返信】
ご不安な思いをおかけし、申し訳ございません。
個別の状況についてはこの場でお答えできないため、
お手数ですが〇〇(施設名)の施設長まで、お電話(000-000-0000)でご連絡ください。
いただいたご意見は、職員全体で共有いたします。
承認する職員は、施設長か生活相談員のどちらか1人に決めます。あわせて「口コミを確認してから3営業日以内に返信する」のように期限も決めておくと、返信が滞りません。
AIで返信の下書きを作るときの渡し方
AIに返信の下書きを作らせるときは、口コミ本文から名前と病状を消してから渡します。口コミ本文は外部のサービスに送られるため、家族が書いた入居者の名前・病状・出来事のほか、職員の名前も伏せてください。入力した内容が学習に使われるかどうかは、使うAIの設定画面で確認しておきます。
介護施設の口コミに返信する下書きを3文で作ってください。
型は[感謝/不満]です。
入居者の名前・病状・出来事・利用の事実には触れないでください。
口コミ本文:[名前と病状を消した本文を貼る]
あとはAIとやり取りしながら、自施設の言い回しに合わせて詰めてください。出てきた下書きは、公開前に次の3点を確認します。
- 利用の事実:「お母様は」「ご入居中の」のように、入居を認める語が入っていないか
- 出来事:口コミにあった転倒や体調の話に、返信で触れていないか
- 約束:「必ず改善します」のように、施設で決めていないことを約束していないか
この章の結論。依頼の場面、依頼文、返信の型の3つを紙にして職員で共有すれば、担当者が替わっても同じ品質で続けられます。外部に任せる場合も、この3つが発注の前提になります。
MEO依頼の費用と任せる範囲
MEO依頼の費用は、プロフィールの数と、返信・撮影・投稿をどこまで任せるかで変わります。相場の金額は作業範囲の違いで大きく変わるため、ここでは費用が変わる条件と内訳を示します。
金額を比べるのは、作業範囲をそろえて見積もりを取り直してからにしてください。見積書で確認する項目はMEO代行の見積りチェックリスト12項目にまとめています。
MEO依頼の費用が変わる5つの条件
| 条件 | 費用が上がる側 | 介護施設で確認すること |
|---|---|---|
| プロフィールの数 | デイサービス・特養・居宅介護支援などを別々に登録している | どのサービスを別のプロフィールにしているか |
| 返信の範囲 | 全件の下書きと、承認のやり取りまで任せる | 承認する職員と返信の期限 |
| 写真 | 現地での撮影まで任せる | 写る方への同意を誰が取るか |
| 投稿の頻度 | 週1回以上の投稿 | 行事予定を誰が代行会社に伝えるか |
| 依頼物の制作 | 受付のPOP・おたより・QRコードまで制作する | 配るのは職員になる |
このほかに、カテゴリ・説明文・重複したプロフィールの統合などの初期設定が、最初の月だけ別料金になる見積もりもあります。月額に含まれるのか、初期費用として別に請求されるのかを確認してください。
代行費を入居1件の粗利と比べる計算
代行費が見合うかは、入居や利用が何件増えれば回収できるかで判断できます。売上ではなく、原価を差し引いた粗利で比べます。計算式は次のとおりです。
入居1件の年間粗利 = (入居者1人あたりの月の収入 − 入居者1人あたりの月の原価) × 12
回収に必要な件数 = 代行費の年額 ÷ 入居1件の年間粗利
特養やデイサービスなど介護保険サービスの場合、月の収入には、家族が払う自己負担分だけでなく、介護報酬(保険給付分)と居住費・食費も入れます。自己負担分だけで計算すると、粗利を実際より小さく見積もってしまいます。
原価には、人件費・食費・光熱費など、入居者が1人増えたときに増える費用を入れます。代行費の年額が入居1件の年間粗利を下回るなら、年に1件の入居がGoogleマップ経由で決まれば回収できる計算になります。
この判断には、見学の電話で「何で施設をお知りになりましたか」と毎回質問し、記録しておくことが欠かせません。記録が無いと、入居がGoogleマップ経由かどうかを後から確かめられません。数字の取り方はMEO対策の費用対効果の出し方で詳しく解説しています。
自施設で行う範囲と依頼する範囲
自施設で行うのは、次の5つです。
- 家族への依頼
- 返信の承認
- 写真の同意の取得
- 職員体制や費用の事実確認
- 見学問い合わせの記録
依頼するのは、次の5つです。
- 初期設定
- 投稿文の作成と予約投稿
- 返信の下書き
- 月次の数字のまとめ
- 依頼文とQRコードの制作
返信の下書きや投稿の作成を任せて、毎月の表示回数・通話数・経路検索数の報告を受けたい場合は、口コミ返信と投稿まで行うMEO対策の代行にご相談いただけます。
MEO依頼の契約前に確認する7項目
- 権限:オーナー権限は施設が持ち、代行会社には管理者権限を付与する形か(違いはGoogleビジネスプロフィールの権限の違いを参照)
- 承認:返信は施設が承認してから公開する流れか
- 書かない情報:名前・病状・利用の事実を返信に書かない取り決めを、運用ルールに書けるか
- 依頼の方法:口コミ依頼に特典や、依頼相手の選別が含まれていないか
- 表示の確認:説明文と投稿を、施設が確認してから公開するか
- 写真:同意の無い写真を使わない取り決めがあるか
- 解約時:投稿・写真・返信は残り、代行会社の権限は外されるか
この章の結論。見積もりは金額より先に、5つの条件のどこまでが含まれているかで比べます。7項目に「はい」と答えられない会社とは、契約の前に運用ルールをすり合わせてください。
介護施設のGoogleマップ運用でつまずく4つの条件
介護施設のGoogleマップ運用でつまずくのは、個人情報、特典、施設の表示、サービスの区分の4か所です。それぞれ、起きる場面と防ぎ方を説明します。
返信で、家族が書いた出来事に答えてしまう
「父が転倒したのに連絡が遅かった」という口コミに、経緯を説明しようとして「〇月〇日の転倒については」と返信すると、入居者の出来事を施設が誰でも読める場所に書くことになります。返信は不満の型にとどめ、経緯は電話や面談で家族に直接伝えてください。
行事の記念品と口コミ依頼を同じ場面で配る
敬老会で記念品を配る袋に口コミ依頼のチラシを入れると、記念品が投稿の見返りに見えます。Googleマップの口コミのポリシーでは、金品やサービスと引き換えに口コミを集めることを禁止しています。依頼の紙は、記念品と別の機会に配ってください。置き換え方は口コミの特典をGoogleの規約に沿って置き換える方法にまとめています。
景品表示法では、2023年10月1日から告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が施行されています(消費者庁のステルスマーケティングの解説)。
有料老人ホームの説明文で、職員体制や費用を言い切る
実際は夜間の看護師がオンコール対応なのに「看護師24時間常駐」と説明文や投稿に書くと、実態と違う表示になります。有料老人ホームの表示には、景品表示法にもとづく告示「有料老人ホームに関する不当な表示」があります。
設備・介護体制・職員数・費用に触れる文は、告示の原文を確認してから載せてください。代行会社が文案を作る場合も、事実の確認は施設が行います。
同じ住所の複数サービスで、口コミの行き先を決めていない
特養とデイサービスが同じ建物にあり、プロフィールが1つしかない場合を考えてみます。デイサービスの送迎への不満と特養の面会の感想が同じ場所に並ぶため、どちらを探している家族にも判断しにくくなります。
サービスごとに分けて登録してよいかは、Google に掲載するビジネス情報のガイドラインで確認してください。分けた場合は、QRコードもプロフィールごとに作り、そのサービスの家族にだけ配ります。
この4つは、代行会社に任せても起こりえます。契約前の7項目のうち「承認」「依頼の方法」「表示の確認」を取り決めておけば、公開前に止められます。
介護施設の口コミとMEO依頼のよくある質問
元職員が書いたとみられる低評価の口コミは削除できますか?
施設側では削除できません。Googleに報告し、ポリシー違反とGoogleが判断した場合にだけ削除されます。報告の方法はGoogle ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」で確認できます。
Googleマップの口コミのポリシーでは、現在または過去の雇用関係にもとづく投稿を利益相反として扱っています。通る基準はGoogle口コミの削除依頼が通る基準で解説しています。
認知症の入居者さんが写った行事の写真を、Googleマップに載せてもいいですか?
本人の意思を確かめられない場合は、家族の同意を書面で得てから載せてください。同意が取れない方は、後ろ姿や手元だけの構図にするか、写真に入れないようにします。同意書は施設で保管し、代行会社には同意済みの写真だけを送ります。
遠方に住んでいて面会に来られない家族には、どう依頼すればいいですか?
毎月のおたよりや請求書に、QRコードと投稿用リンクを載せた依頼文を同封します。メールで連絡している家族には、投稿用リンクをそのまま送れます。どちらも全家族に同じ文面で送り、依頼する相手を選ばないようにしてください。
見学の予約をGoogleマップから直接受けることはできますか?
Googleビジネスプロフィールには、「予約を取る」などのリンクを追加できるローカル ビジネス リンクの項目があります。介護施設のカテゴリでこの項目を選べるかは、管理画面で確認してください。選べる場合は、施設のホームページの見学予約フォームのURLを設定すると、Googleマップから予約画面に進めます。設定の流れはGoogleビジネスプロフィールの予約リンク設定を参照してください。
介護施設のGoogleマップ運用の相談先
まずはスマートフォンで自施設の名前を検索し、口コミの件数と、返信の付いていない口コミがあるかを確認してください。依頼文を作る前に、口コミQRコードの作り方を読んでおくと、配る紙をすぐ作れます。
ここまで読んで、返信の下書きや投稿まで施設内で続けるのは難しいと感じた方もいるかもしれません。施設で決めることと任せる作業の分け方から、一緒に考えます。いまの運用の状況を伺うだけでも大丈夫です。お気軽にGoogleマップの口コミ運用を任せるMEO対策のページからご相談ください。
個別のご相談
サービスの選び方やご依頼について、ご相談いただけます。
相談する