ホームページの内製と外注の判断軸|社内に残る作業一覧と費用の差

ホームページの内製と外注の判断軸|社内に残る作業一覧と費用の差

この記事の要点

  • 内製か外注かは「作れるか」ではなく、公開後に誰が持ち続けるかで決まる
  • 外注しても、原稿・写真・承認・お知らせ更新の4つは社内に残る
  • 費用は3年総額で比較。内製は担当者の時給換算で出す(計算例と比較表あり)

ホームページを自社で作るか外注するかは、「作れる人が社内にいるか」では決まりません。公開したあとに、更新・確認・不具合対応を誰が持ち続けるかで決まります。作るのは1回ですが、持ち続ける作業は公開している限り毎月続くからです。だから判断の順番は、まず作業ごとに「誰が持つか」を振り分け、次に3年分の費用を並べる、の2段階になります。

この記事は、制作会社に依頼するか社内で進めるかを決める立場の方(経営者・役員・院長・施設長)に向けて書いています。読み終わる頃には、作業ごとに内製と外注を振り分けた一覧と、3年分の費用を並べた比較表を、自社の数字で作れる状態を目指します。

扱うのは判断材料です。自分の手で作る手順はホームページの自作は初心者でも可能|手順とツール選びで失敗回避で解説しているので、作り方そのものを探している方はそちらをご覧ください。

Contents / 目次
  1. ホームページを自社で作るか外注するかを決める3つの判断軸
  2. 外注しても社内に残る作業の一覧
  3. 内製と外注の費用の差は何で決まるか
  4. web制作を外注すると決めたら、契約前に確認すること
  5. 内製と外注、それぞれでうまくいかない条件
  6. 現場で見えている落としどころ
  7. 自社で行う範囲と、制作会社に依頼する範囲の分け方
  8. ホームページの内製と外注についてよくある質問

ホームページを自社で作るか外注するかを決める3つの判断軸

判断軸は3つです。

  • その作業は月に何回起き、間違えるとどうなるか
  • 外注しても社内から消えない作業は何か
  • AIで作る内製が向く範囲はどこまでか

この3つを作業ごとに当てはめると、サイト全体を内製か外注かで二分するのではなく、作業単位で振り分けた一覧ができます。

実際に判断している現場を見ていると、「すべて内製」か「すべて外注」かで決めた会社より、作業ごとに分けた会社のほうが公開後に止まりにくい傾向があります。理由は単純で、内製に向く作業と外注に向く作業の性質がまったく違うからです。

判断軸1。その作業は月に何回起き、間違えるとどうなるか

発生頻度が高く、間違えても元に戻せる作業は内製に向きます。発生頻度が低く、間違えると集客や信用に直接響く作業は外注に向きます。この2つの軸で、ホームページに関わる作業はほぼ振り分けられます。

たとえば「お知らせの追加」は月に数回起き、文章を間違えても翌日直せます。これは内製向きです。一方で「サイト全体の構成設計」は数年に1回しか起きず、ここを間違えると問い合わせが来ないサイトのまま何年も過ごすことになります。これは外注向きです。

迷いやすいのが「デザインの修正」です。ボタンの色を変える程度なら内製でも戻せますが、レイアウトを触るとスマホ表示が崩れ、気づかないまま数週間過ぎることがあります。頻度は低く、影響は中くらい。この位置にある作業は、後述する「編集できる範囲の線引き」を先に決めてから内製に含めるかどうかを決めます。

判断軸2。外注しても社内から消えない作業があるか

外注しても社内に残る作業があります。会社の一次情報(沿革・実績・料金・強み)を書き出すこと、写真を手配すること、制作物を確認して承認すること、公開後にお知らせや実績を更新することの4つです。この4つは、どの制作会社に頼んでも社内の誰かが担います。

「外注すれば手が離れる」と考えて依頼し、公開が半年遅れるケースを何度も見てきました。私たちが相談を受けた範囲では、遅れる原因は制作会社の作業より、社内の原稿と写真が出てこないことのほうが多いです。制作会社は会社の中身を知りません。「うちの強みは何か」「この施工事例を載せてよいか」は社内でしか決められません。

だから外注を選ぶときも、「社内に残る4つの作業を誰が持つか」を先に決めます。ここが決まっていないと、外注費を払ったうえで社内の時間も使い、しかも公開が遅れる、という一番損な形になります。残る作業の一覧は次の章で具体的に示します。

判断軸3。AIで作る内製が向く範囲

AIで作るホームページの内製は、「たたき台を短時間で作る」範囲では実用になっています。文章の下書き、ページ構成の案出し、ノーコードツールやAIコーディングツールでの試作までは、専門知識がなくても進められます。この範囲は内製の候補に入れてよい段階です。

ただし、AIが変えたのは「作る速さ」であって「持ち続ける手間」ではありません。AIで一気に作ったサイトほど、公開後に「どこを触ればお知らせが増えるのか分からない」「直そうとしたら表示が崩れた」という相談が増えています。作れることと、社内で更新し続けられることは別の話です。

AIで作る内製を選ぶなら、公開前に「更新する場所」と「触ってはいけない場所」を決めてから公開してください。この設計はVibe codingのサイトが詰む前の更新設計|非エンジニアの4手順で解説しています。AIに任せる範囲と人が判断する範囲の一般論は、そちらの記事に譲ります。

3つの判断軸を当てはめると、作業ごとの振り分けは次の表のようになります。

作業発生頻度間違えたときの影響向いている進め方
目的・ターゲット・ページ構成の設計数年に1回大きい(問い合わせが来ない設計のまま数年続く)外注、または外注と一緒に決める
デザインの基本ルール(色・書体・余白)数年に1回大きい(全ページに波及)外注
実装・フォーム・予約などの機能連携数年に1回大きい(動かないと問い合わせが止まる)外注
サーバー・ドメイン・SSL・バックアップ年数回大きい(期限切れでサイトが止まる)外注(保守契約)。契約者名義は自社
会社の一次情報の書き出し初回と改訂時大きい(強みが伝わらない)社内にしかできない
写真の手配・撮影の段取り初回と実績追加時中社内が段取り、撮影は外注も可
お知らせ・実績・ブログの追加月数回小(翌日直せる)内製
既存ページの文章・画像の差し替え月1回程度小〜中内製(編集範囲を決めたうえで)
レイアウトの変更・ページの新設年数回中〜大(スマホ表示が崩れる)外注、または内製でも公開前に確認を挟む
アクセス解析と改善の判断月1回中併用(数字を見るのは社内、打ち手は外注と相談)

この章の結論。内製か外注かはサイト全体で決めず、作業ごとに「頻度」と「間違えたときの影響」で振り分けます。表の「社内にしかできない」行は、どちらを選んでも社内に残ります。

外注しても社内に残る作業の一覧

外注しても社内に残る作業は、初回に集中する「材料出し」と、公開後に続く「更新と確認」の2種類に分かれます。この一覧は、外注を検討している方が「任せたあと、自分たちは何をするのか」を見積もるために使ってください。ここを見ずに契約すると、公開が遅れる原因が社内側で起きやすくなります。

社内に残る作業いつ発生するか具体的な中身担当を決めるときの目安
会社の一次情報の書き出し初回に集中沿革、代表の考え、サービスの範囲、料金、選ばれている理由、よくある質問経営者本人か、経営者に直接聞ける人。他の人では書けない
実績・事例の掲載可否の確認初回と追加時取引先に掲載許可を取る、写真の使用許可を取る営業担当。許可が下りない事例は載せない判断も社内
写真の手配初回と追加時撮影日の調整、写る人の同意、社屋・店舗の片付け、既存写真の選別総務か店舗責任者。撮影自体は外注可
法務系ページの内容確認初回と法改正時プライバシーポリシー、特定商取引法の表記、医療広告ガイドラインへの適合(医療機関の場合)経営者か顧問先。制作会社は下書きまでで、責任は自社
制作物の確認と承認初回の各工程構成案、デザイン案、原稿、テスト環境の表示確認。返答期限を守る決裁者1人に固定。合議にすると工程ごとの返答が延びやすい
ドメイン・サーバーの契約者名義初回と更新時契約者を自社にする、更新通知メールが届く住所を管理する経営者か総務。制作会社名義にすると解約時に持ち出せない
お知らせ・実績の追加公開後、月数回休業案内、新サービス、施工事例、採用情報現場に近い人。承認者を別に置くと止まりやすい
問い合わせへの返信公開後、随時フォームから届いた問い合わせへの一次返信営業か受付。サイトを作っても返信が遅いと成果にならない
保守会社からの連絡への対応公開後、年数回更新作業の実施可否、不具合報告への返答、更新料の支払い総務。放置するとSSLやドメインの期限切れで止まる

この一覧で担当者の名前が埋まらない行があれば、その作業を制作会社に追加で依頼できるか、契約前に確認してください。たとえば原稿の書き出しは「取材して制作会社が書く」形で依頼できますが、費用は別に発生します。写真の撮影も同じです。

問い合わせへの返信は、サイトの出来と同じくらい成果を左右します。返信の型はホームページの問い合わせ返信メール例文|時間と書き方の型にまとめています。

確認と承認の担当を「社長が最後に見る」だけにしておくと、社長の予定が空くまで各工程が止まります。工程ごとに返答期限(たとえば5営業日)を決め、期限内に返答がなければ制作会社側の案で進める、と契約時に取り決めておくと公開が遅れにくくなります。

この章の結論。外注しても、材料出し・確認と承認・公開後の更新は社内に残ります。一覧の担当者欄を埋めてから見積もりを取ると、「任せたのに社内が忙しい」という結果を避けられます。

内製と外注の費用の差は何で決まるか

費用の差は、外注費の内訳のどこまでを依頼するかと、内製する作業に社内の誰の時間を使うかで決まります。外注費は幅で示すしかありませんが、幅ができる理由は内訳を見れば分かります。内製の費用は「無料」ではなく、担当者の時給換算で計算します。この2つを3年分で並べると、初めて比較になります。

web制作を外注する費用の内訳と幅

外注費は、企画・設計、デザイン、実装、原稿と写真、公開後の保守の5つに分かれます。見積もりの金額に幅が出るのは、この5つのうちどこまでを依頼するかが会社ごとに違うからです。同じ「ホームページ制作」でも、テンプレートに原稿を流し込むだけの依頼と、取材と撮影から設計する依頼では、含まれる作業がまったく違います。

  • 企画・設計:目的、ターゲット、ページ構成、問い合わせまでの導線を決める工程。テンプレート活用の格安プランでは省かれることが多く、その分安くなります
  • デザイン:トップページと下層ページの見た目を作る工程。テンプレート適用か、自社専用に設計するかで費用が数倍変わります
  • 実装:WordPressなどのCMS(更新システム)への組み込み、フォーム、予約やSNS連携などの機能。機能が増えるほど加算されます
  • 原稿と写真:取材して書く、プロが撮影する、を依頼すると加算されます。自社で用意すれば含まれません
  • 公開後の保守:サーバー管理、CMSの更新、バックアップ、軽微な修正。月額で別契約になるのが一般的です

金額は、業種・ページ数・機能で大きく変わるため一概に言えません。ただ、テンプレートに原稿を流し込むだけの依頼、設計とデザインを自社専用に作る依頼、取材・撮影・多機能まで含める依頼、の順に含まれる工程が増え、費用も段階的に上がります。この段階を頭に置いておくと、見積もりを受け取ったときに「どの内訳が乗っているか」を照らし合わせられます。

見積書のどの行が何を意味するかはホームページ制作の見積書の読み方|費用内訳と安い提案の確認点一覧で、月額保守に何が含まれるかはホームページ保守の費用相場|月額に含む作業と別料金の一覧で解説しています。

ホームページ内製化の費用の出し方

内製の費用は「担当者の時給換算 × 作業時間 + ツール・サーバー費 + 学習時間の人件費」で出します。内製化を検討する会社の多くが「外注費がかからないから安い」と考えますが、担当者の時間はもともと別の業務に使われていたものです。その時間を数字にしないと、外注費と比べられません。

計算の手順は次のとおりです。

  1. 担当者の時給換算を出す。年収を年間の労働時間で割った金額に、社会保険料などの会社負担分を上乗せした概算で構いません
  2. 初回の構築にかかる時間を見積もる。ツールの習得、構成を考える、原稿を書く、写真を選ぶ、公開までの確認。初めてなら、経験者より大幅に時間がかかる前提で、余裕を持って見ます
  3. 公開後の更新にかかる時間を月単位で見積もる。お知らせの追加、写真の差し替え、CMSの更新作業、不具合が出たときの調べもの
  4. ツール費とサーバー・ドメイン費を年額で足す
  5. 1〜4を3年分で合計する

ここで一番見落とされるのが、「誰の時間か」です。同じ月5時間の更新でも、事務スタッフが行う場合と、院長や社長本人が行う場合では人件費が数倍違います。経営者本人が更新しているクリニックや工務店では、内製のほうが外注より高くついていることが珍しくありません。診療や現場に使えたはずの時間だからです。

3年総額で比べる比較表(仮定の数字)

次の表は、比較の型を示すための仮定の数字です。時給換算・作業時間・外注費はすべて自社の数字に置き換えて使ってください。ここでは、事務スタッフが内製する場合、経営者本人が内製する場合、制作会社に外注して更新だけ社内で行う場合の3つを並べています。

費目内製(事務スタッフ・時給換算2,500円と仮定)内製(経営者本人・時給換算10,000円と仮定)外注+更新は社内(事務スタッフ)
初回の構築習得と構築に80時間 → 20万円同じ80時間 → 80万円制作費(仮に80万円)+社内の材料出しと確認に20時間 → 5万円
ツール・サーバー・ドメイン(年)3万円3万円保守契約に含む前提で月額を年換算(仮に18万円)
公開後の更新(年)月5時間 × 12か月 → 15万円月5時間 × 12か月 → 60万円月3時間 × 12か月 → 9万円(更新の型ができている分、短い)
不具合対応・調べもの(年)年10時間 → 2.5万円年10時間 → 10万円保守契約に含む前提 → 0円
3年総額約82万円約299万円約166万円

この仮定では、事務スタッフが内製する場合が最も安く、経営者本人が内製する場合が最も高くなります。同じ「内製」でも、誰の時間を使うかで結果が逆転する、というのがこの表で伝えたいことです。外注は中間に位置しますが、3年総額の差は「誰が、どのくらいの時間を、本来の業務から持ち出すか」で決まっています。

もう1つ、この表に乗っていない差があります。内製で作ったサイトと、設計から外注したサイトでは、問い合わせの来やすさが同じとは限りません。費用の比較は「同じ成果が出る前提」で並べていますが、実際には設計の質で成果が変わります。費用だけで決めず、前の章の振り分け表で「設計は外注」に置いた理由をあわせて考えてください。

表の数字はすべて仮定です。時給換算・作業時間・制作費・保守費は会社ごとに違うので、この型に自社の数字を入れて計算してください。制作費の勘定科目(資産計上か費用か)はホームページリニューアル費用の勘定科目|資産計上の判断基準で解説しています。

この章の結論。費用は3年総額で、内製は「誰の時間か」を時給換算に入れて比べます。経営者本人が更新している会社は、外注より内製のほうが高くついている可能性を先に確かめてください。

web制作を外注すると決めたら、契約前に確認すること

外注を選ぶと決めたら、契約前に確認するのは「何が自社のものになるか」「どこまでが料金に含まれるか」「やめるときにどうなるか」の3点です。制作会社を選ぶ基準の前に、この3点が書面で確認できる会社かどうかを見てください。ここが曖昧な契約は、公開後2〜3年経ってから問題になります。

次のチェックリストは、見積もりを受け取ったときにそのまま制作会社へ質問できる形にしています。

  • ドメインの契約者名義:自社名義で取得するか。制作会社名義だと、契約を終えるときにドメインごと失うことがあります
  • サーバーの契約者名義:同じく自社名義か。制作会社のサーバーに同居する形なら、解約時にデータを持ち出せる条件を確認します
  • CMSの管理者権限:公開後に自社が管理者アカウントを持てるか。編集者権限だけだと、制作会社と連絡が取れなくなったときに何もできません
  • デザインと原稿の著作権:納品後に自社が自由に改変できるか。「著作権は制作会社に帰属、利用許諾のみ」の契約だと、別の会社に改修を頼めない場合があります
  • 修正回数と追加費用の条件:デザイン案の修正は何回まで含むか、公開後の修正はどこから有料か。詳しくはホームページ制作の修正回数と追加費用|契約前に決める範囲を参照してください
  • 保守契約の範囲:月額に含む作業(CMS更新、バックアップ、軽微な修正)と、別料金になる作業(ページ新設、機能追加)の線引き
  • 自社で編集してよい範囲:お知らせの追加だけか、固定ページの文章も触ってよいか。自社で触ると保守対象外になる条件があるなら、その条件
  • 解約時の扱い:データのエクスポート形式、引き継ぎに要する費用、最低契約期間。サブスク型(月額制)の場合は総額と解約条件をサブスク型ホームページ制作の費用|総額の出し方と解約の注意点で確認してください
  • 社内に残る作業の担当と期限:原稿と写真の提出期限、各工程の確認期限を、自社側の義務として契約に書くか
  • フリーランスへ依頼する場合の取引条件:2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)により、発注側には取引条件の書面等での明示や、給付を受領した日から原則60日以内の報酬支払いなどが義務づけられています。個人へ依頼する場合は、公正取引委員会の法律ページと厚生労働省の案内ページで発注側の義務を確認してください

フリーランスと制作会社のどちらに依頼するかで迷っている場合は、福岡のホームページ制作|フリーランスと制作会社の選び方に判断の分かれ目をまとめています。

この章の結論。契約前に確かめるのは、名義・権限・著作権・範囲・解約条件の5つが書面にあるかどうかです。この5つに答えられない制作会社には、金額がいくら安くても依頼を見送る判断ができます。

内製と外注、それぞれでうまくいかない条件

うまくいかない条件は、内製と外注で性質が違います。内製は「担当者1人に集中して、その人がいなくなると止まる」形で、外注は「社内の材料が出てこなくて公開が遅れる」形で失敗します。どちらも、判断の段階で条件を見ておけば避けられます。ここでは、内製と外注の判断そのものに関わる失敗だけを4つ挙げます。

内製化したが担当者の退職で更新が止まる

内製化を決め、Webに詳しい社員1人に任せた会社で、その社員が退職した途端に更新が止まる。ログイン情報がその人しか知らない、どこを触ればお知らせが増えるのか誰も分からない、という状態になります。これは「外注先を社員1人に置き換えただけ」で、内製化ではありません。

防ぎ方は、担当者が在籍しているうちに「ログイン情報の保管場所」「お知らせを追加する手順」「困ったときの連絡先」の3つを社内文書にすることです。手順書の作り方はWordPressの操作マニュアルの作り方|社内手順書と動画の進め方を参照してください。手順書がない内製は、内製とは呼べません。

外注したのに原稿が出ず、公開が半年遅れる

制作会社と契約し、デザイン案まで順調に進んだあと、原稿の提出で止まる。「うちの強みを書いてください」と言われて社内で書ける人がおらず、3か月放置される。制作会社からの催促に答えられないまま、公開予定日を半年過ぎる。私たちが相談を受けた範囲では、外注の失敗で最も多いのがこの形です。

防ぎ方は、契約前に「原稿は誰が書くか」を決め、書ける人がいないなら取材と執筆を依頼の範囲に入れることです。費用は上がりますが、公開が半年遅れる損失(その間の問い合わせがゼロ)と比べれば判断できます。原稿の材料を社内で出す場合は、経営者への聞き取りを1〜2時間行い、その録音をAIで文字起こしして下書きにする進め方が、社内の負担を減らします。

更新を内製にしたが、編集できる範囲を決めておらずデザインが崩れる

制作は外注、更新は内製という分け方を選んだ会社で、公開後に社内の担当者が固定ページのレイアウトまで触り、スマホ表示が崩れたまま数か月気づかない。制作会社に直してもらおうとすると「自社で編集した箇所は保守対象外」と言われる。この失敗は、分け方そのものは正しいのに、線引きを決めていなかったことで起きます。

防ぎ方は、公開前に「社内が触ってよい場所」を具体的に決め、それ以外は編集できない権限設定にしてもらうことです。お知らせと実績の追加は社内、固定ページとレイアウトは制作会社、と決めておけば、崩れる場所がなくなります。どこまで細かく権限を分けられるかはCMSと制作会社の設定によって違うので、「お知らせと実績だけ追加できるアカウントを別に作れるか」を契約前に確認してください。

AIで内製したが、公開後に誰も更新できない

AIコーディングツールやノーコードツールで経営者自身が短期間でサイトを作り、公開まではうまくいった。ところが3か月後にお知らせを1件追加しようとして、どこを触ればよいか分からない。ツールを開いて指示を出したら別の場所まで変わってしまい、戻せなくなった。AIで作る内製が広がってから、私たちに寄せられる相談で増えている形の失敗です。

防ぎ方は、公開前に「更新する場所をCMS化しておく」か、「更新は外注する前提で作る」かのどちらかを決めることです。作る段階では判断軸3で述べたとおりAIが速さをもたらしますが、持ち続ける段階の設計は別に必要です。作り方の選択肢はAIホームページ作成5ステップ|ツール選びとプロンプト例にまとめています。

この章の結論。内製の失敗は「1人依存と手順書なし」、外注の失敗は「社内の材料出しが決まっていない」、併用の失敗は「編集範囲の線引きなし」、AIで作る内製の失敗は「更新する場所の設計なし」で起きます。判断の段階でこの4つを決めておけば、どの進め方でも止まりにくくなります。

現場で見えている落としどころ

内製化を掲げて相談に来る会社の多くが、最終的に落ち着くのは「設計と構築は外注、お知らせと実績の更新だけ内製」という形です。これは妥協ではなく、判断軸1で振り分けた結果そのものです。ただ、この形に落ち着くまでに、教科書には書かれていない現実がいくつかあります。相談の場でよく出る4つを率直に書きます。

内製の担当者は兼任になる

1つ目は、内製の担当者はほぼ必ず兼任だということです。私たちが相談を受けた範囲では、「Web担当」を専任で置いている中小企業は少なく、総務や営業事務が兼任しています。兼任の担当者に任せられるのは、月に数時間で終わる更新までです。

「内製化するから担当者を育てる」と計画しても、育てる時間が本来業務に押されて確保できない、という相談もよく受けます。計画の段階で、担当者の月の作業時間を「5時間以内」のように上限で決めておくと、無理のない範囲が見えます。

外注先にも担当者の交代がある

2つ目は、外注先にも担当者の交代があることです。制作会社の担当者が変わると、サイトの経緯を知らない人が対応することになります。これは内製の「担当者退職」と同じ問題を、外注先で抱えることを意味します。

防ぐには、サイトの目的・ターゲット・設計の理由を書いた文書を自社側でも持っておくことです。制作会社に「設計の理由を文書で残してほしい」と依頼すれば、担当が変わっても引き継げます。

内製と外注を切り替えるときの引き継ぎ

3つ目は、途中で内製と外注を切り替えるときの引き継ぎです。「外注から内製へ」も「内製から外注へ」も、切り替え自体は可能ですが、データの形式と権限が引き継げる状態になっているかで難易度が大きく変わります。

ツールによっては、作ったサイトのデータを別のツールや制作会社へ書き出す手段が用意されていないことがあります。その場合、内製から外注へ切り替えるときに作り直しになります。最初にツールを選ぶ段階で「ほかへ移せるか」を公式の案内で確かめておく理由はここにあります。

内製のサイトを外部に診てもらう形

4つ目は、内製で作ったサイトを外注先に「診てもらう」形が意外に機能することです。すべて外注する予算はないが、内製だけでは成果が出るか不安、という会社には、公開後に設計だけを診断してもらい、直す優先順位を出してもらう進め方があります。

作業は社内で行い、判断だけを外部に頼む形です。費用は制作の依頼より小さく、内製の弱点である「設計の質」を補えます。

更新が止まったサイトの信用への影響と、更新体制の作り方は更新されないサイトの信用低下を直す更新体制の作り方|担当と頻度で扱っています。

この章の結論。現実の落としどころは「設計と構築は外注、更新は内製」で、担当者は兼任、外注先にも交代がある前提で文書を残します。切り替えの可能性があるなら、最初にツールと契約の「移せるか」を確かめてください。

自社で行う範囲と、制作会社に依頼する範囲の分け方

ここまでの判断軸を当てはめると、自社で行う範囲と依頼する範囲は次のように分かれます。

自社で行う作業

  • 会社の一次情報の書き出し
  • 写真の手配
  • 制作物の確認と承認
  • 公開後のお知らせと実績の追加
  • 問い合わせへの返信

制作会社に依頼する作業

  • 目的とターゲットの設計
  • ページ構成
  • デザイン
  • 実装
  • サーバーとドメインの保守

依頼する範囲を制作会社と一緒に進めると、公開時に手元に残るのは「誰に何を見せるかを決めた設計の文書」「社内で更新できる場所と触らない場所を分けたサイト」「保守で何が含まれるかを書いた契約」の3つです。設計の理由が文書で残っていれば、担当者が社内・外注先のどちらで交代しても引き継げます。内製と外注を分けて進めるホームページ制作では、この分け方を決めるところから相談を受けています。

どちらか一方に寄せる必要はありません。表で「社内にしかできない」とした作業を自社が持ち、「向いている進め方」が外注の作業を依頼する。この分け方が決まれば、見積もりを取る段階で「どこまでを依頼するか」を自社の言葉で伝えられます。

ホームページの内製と外注についてよくある質問

今は制作会社に毎回お知らせの更新を頼んでいます。更新だけ社内に戻せますか

戻せます。制作会社に「お知らせと実績だけ社内で追加できるアカウント」を依頼してください。固定ページやレイアウトは触らない、と社内で範囲を決めておけば、表示が崩れる場所を減らせます。どこまで権限で分けられるかはCMSと制作会社の設定によって違うので、保守契約の範囲が変わるかどうかとあわせて確認してください。

外注先が作ったWordPressのサイトを自社で触ると、保守対象外になると言われました。妥当ですか

「自社で編集した箇所の不具合は保守対象外」は一般的な条件です。妥当かどうかは、編集してよい範囲が具体的に決まっているかで判断してください。お知らせの追加まで対象外にされるなら範囲が狭すぎます。逆に、範囲を決めずに全部触れる状態は、崩れたときに責任の切り分けができません。

院長の私が自分でホームページを更新しています。外注に切り替える目安はありますか

目安は「更新に使っている月の時間 × ご自身の時給換算」が、保守の月額を上回っているかどうかです。診療に使えたはずの時間で計算すると、月数時間の更新でも外注の月額を超えることが多いです。更新の作業だけを事務スタッフに移す、という選択肢もあります。

ホームページを内製化するなら、Web担当を1人採用したほうがいいですか

更新だけが目的なら、採用は不要です。兼任の担当者が月数時間で行える範囲だからです。設計やデザインまで社内で行いたい場合は専任が必要になりますが、その人が退職すると止まる1人依存の構造になります。採用より先に、手順書と権限の設計を決めるほうが確実です。

知り合いのフリーランスに頼むつもりです。制作会社と契約で違う点はありますか

あります。個人への業務委託には、フリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注側に取引条件の明示や報酬の支払期日などの義務があります。知り合いでも口約束にせず、納品物・ドメインとサーバーの名義・著作権・保守の有無を書面にしてください。連絡が取れなくなったときに、書面がないと何も残りません。

今日できる最初の一歩は、この記事の「外注しても社内に残る作業の一覧」の担当者欄を、自社の名前で埋めてみることです。埋まらない行があれば、そこが依頼の範囲を決める起点になります。費用の見当をつけるには、ホームページ制作会社の選び方|費用相場と失敗しない判断軸を次にお読みください。

ここまで読んで、自社で行う範囲と依頼する範囲をどこで切るか決めきれない、あるいは今の制作会社との契約がこの記事の確認点を満たしているか分からない、という方は、現状をお話しいただくだけでも構いません。お話を伺ったうえで、社内に残す作業と依頼する作業を一緒に書き出します。社内に残る作業から決めるホームページ制作の相談は、初回は無料です。

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