士業のホームページ写真|撮影を依頼する範囲と費用項目の比べ方
この記事の要点
- 最優先は代表者と有資格者の写真。外観と道順はスマホで足ります
- 撮影費は内訳の表で比べる。総額だけの見積もりは中身を確認します
- 著作権・利用範囲・退所時の扱いは契約前に。確認項目の一覧は本文にあります
士業のホームページ写真で、プロのカメラマンに依頼したほうがよいのは、代表者と有資格者の人物写真、それに相談室の写真です。外観や最寄り駅からの道順は、スマホで撮った写真でも役目を果たします。費用は総額ではなく、撮影時間・レタッチ枚数・写真を使える範囲といった内訳で比べます。
この記事は、ホームページの写真撮影をどこに依頼し、いくらかけ、契約で何を決めておくかを判断する事務所の代表者に向けて書いています。読み終わる頃には、カメラマンや制作会社に見積もりを依頼する文面と、契約前に確かめる項目がそろっている状態を目指します。
扱うのは写真の撮影と契約までです。サイト全体の構成や取扱分野ページの作り方は、別の記事で解説しています。
Contents / 目次
士業のホームページ写真で撮影を依頼する範囲
撮影を依頼する範囲は、写真を見た人が依頼先を決めるときの判断材料になるかどうかで決めます。担当する先生の顔と、実際に相談する部屋は判断材料になるので、プロに依頼します。一方、道順の案内に使う写真は、場所が分かれば役目を果たすので、社内で撮影しても足ります。
次の表は、士業のホームページで使う写真を、依頼の優先度で並べたものです。
| 写真の種類 | 主に載せる場所 | 依頼の目安 |
|---|---|---|
| 代表者のプロフィール写真 | トップページ・代表挨拶・名刺・セミナー告知 | プロに依頼(最優先) |
| 有資格者の個別写真 | 所員紹介・取扱分野ページの担当者欄 | プロに依頼(代表者と同じ日に撮影) |
| 相談室・応接室 | 初回相談の流れ・アクセス | プロに依頼(人物と同じ日にまとめる) |
| 打ち合わせ・執務の風景 | 事務所紹介・採用ページ | プロに依頼。書類の写り込みを必ず確認 |
| 集合写真 | 事務所紹介・採用ページ | 人数が多いならプロに依頼 |
| 外観・入口・看板 | アクセスページ | 道順の案内用ならスマホで足りる |
| 最寄り駅や駐車場からの道順 | アクセスページ | スマホで足りる |
| 取扱分野のイメージ | 分野ごとのページ | 写真より、手続きの流れを図や表で示す |
撮影を依頼する前に、事務所で決めておくことは次の3つです。
- 写真を使う場所の一覧:ホームページのどのページか。名刺・パンフレット・士業向けの紹介サイト・セミナー告知にも使うか
- 著作権と利用範囲:写真を事務所がどこまで自由に使えるか。制作会社を変えたときや所員が退所したときの扱いも含みます
- 広告の規定と守秘の確認:所属する会の広告に関する規定と、依頼者の情報が写り込まないための準備
写真の話に入る前に、サイト全体の構成と制作費を先に決めたい方は、士業のホームページ集客と取扱分野ページの作り方から読むと、写真を置くページが決まります。
この章の結論。プロに依頼するのは「人」と「相談する部屋」の写真です。依頼の前に、使う場所・利用範囲・広告の規定の3つを決めておくと、見積もりの条件がぶれません。
撮影費用の内訳と金額が変わる条件
士業のホームページ写真の撮影費用は、カメラマンを何時間拘束するかと、撮った写真をどこまで使えるかで大きく変わります。同じ「撮影一式」でも、レタッチの枚数や写真の利用範囲が見積もりごとに違うため、総額だけを並べても比べられません。
金額の相場は、地域・カメラマン・撮影する人数で大きく変わるため、この記事では固定の金額を示しません。代わりに、見積もりを項目ごとに並べて比べる方法を紹介します。
見積もりに出てくる費用の項目
撮影の見積もりは、次の9項目に分けると比べられます。項目が見積書に書かれていない場合は、含まれているのか、別料金なのかを確認してください。
| 項目 | 中身 | 金額が変わる条件 |
|---|---|---|
| 撮影費 | カメラマンの拘束時間 | 撮影時間・撮影する人数・カット数 |
| 出張費・交通費 | 事務所までの移動 | 距離・駐車場の有無 |
| レタッチ費 | 明るさ・色・肌・背景の補正 | 補正する枚数と補正の強さ |
| データ納品 | 納品する枚数・形式・画像サイズ | 納品枚数の上限、撮影した全カットを納品するか |
| 利用範囲・著作権 | 写真を使える媒体・期間、著作権を譲渡するか | 印刷物・広告・他社のサイトまで使うか |
| ヘアメイク・スタイリング | 外部スタッフの手配 | 対象の人数 |
| スタジオ・機材 | 背景紙・照明の持ち込み | 事務所で撮影するか、スタジオで撮影するか |
| ディレクション | 撮影内容の構成・当日の立ち会い | 制作会社の担当者が立ち会うか |
| 追加撮影・日程変更 | 後日の追加撮影、延期 | キャンセル規定、追加の最低料金 |
レタッチとは、撮影した写真の明るさや色、肌の質感などを後から補正する作業のことです。士業のプロフィール写真では、実際に会ったときの印象と写真が大きく違うと、初回面談で違和感につながります。補正の強さは「明るさと色の補正まで」のように、依頼の段階で伝えておくと安心です。
仮の数字で見る総額の出し方
総額は、撮影費に、出張費・追加のレタッチ・利用範囲の追加を足して出します。次の表は、撮影費が同じ2つの見積もりを、レタッチの基本枚数と利用範囲の条件だけ変えて並べたものです。計算の形を示すための仮の数字で、相場を示すものではありません。
| 項目(仮の条件) | 見積もりA(仮の金額) | 見積もりB(仮の金額) |
|---|---|---|
| 撮影費(事務所で2時間・代表者と有資格者3人・相談室) | 40,000円 | 40,000円 |
| 出張費 | 5,000円 | 5,000円 |
| 追加のレタッチ(A:基本枚数を超える10枚×1,000円/B:必要な枚数が基本枚数に含まれる) | 10,000円 | 0円 |
| 印刷物(名刺・パンフレット)への利用(A:追加料金/B:基本の利用範囲に含まれる) | 10,000円 | 0円 |
| 合計 | 65,000円 | 45,000円 |
この例で分かるのは、撮影費が同じでも、レタッチの基本枚数と利用範囲の条件次第で総額が変わることです。見積もりを比べるときは、撮影費の安さだけで決めず、「基本で何枚を補正するか」「印刷物に使うと追加費用がかかるか」を同じ条件にそろえてから比べてください。
取材と撮影を含むページの費用の考え方は、取材と撮影を含む導入事例ページの制作費用の内訳でも解説しています。
制作会社の見積もりに撮影費が含まれている場合
ホームページ制作の見積もりに「撮影費一式」とだけ書かれている場合は、上の9項目のどこまでが含まれているかを確認します。制作会社がカメラマンを手配する形では、写真の利用範囲が「このホームページでの利用」に限られていることがあり、名刺やパンフレットに使うと追加の許諾が必要になる場合があります。
サイト全体の制作費の目安と合わせて考えたい方は、クリニック・歯科・士業の業種別ホームページ制作費用の目安で、制作費の中で撮影費が占める位置を確認できます。
この章の結論。撮影の見積もりは、9項目の内訳で同じ条件にそろえてから比べます。特に、レタッチの基本枚数と写真の利用範囲は、総額を大きく動かすので必ず確認してください。
撮影を依頼する前に事務所で決める5つのこと
撮影を依頼する前に事務所で決めるのは、使う場所・撮るカット・規定と守秘の確認・見積もりの条件・撮影日の5つです。ここを決めずに依頼すると、カメラマンは一般的なプロフィール写真だけを撮ることになり、取扱分野ページの担当者欄や相談室の写真が足りなくなります。
ステップ1 写真を使う場所の一覧を作る
最初に、撮影した写真をどこに使うかを一覧にします。ホームページのページ名だけでなく、名刺・パンフレット・士業向けの紹介サイト・セミナー告知・書籍の著者紹介など、ホームページ以外の場所も書き出してください。この一覧が、ステップ4で見積もりを依頼するときの「利用範囲」になります。
一覧は、次の形で書き出すと後の作業に使えます。
写真を使う場所の一覧(例)
―――――――――――――――――
【ホームページ】
・トップページ(代表者・横長)
・代表挨拶(代表者・縦長)
・所員紹介(有資格者3人・同じ背景で縦長)
・相続のページ担当者欄(担当の有資格者)
・初回相談の流れ(相談室)
・アクセス(外観・入口)※スマホで撮影
【ホームページ以外】
・名刺(代表者・有資格者)
・事務所パンフレット(集合写真・相談室)
・士業向けの紹介サイトのプロフィール
・セミナー告知のチラシ
【使う期間】
・次のリニューアルまで(目安として5年程度)
ステップ2 カット表を作る(AIでたたき台を作れます)
カット表とは、撮影する写真を1枚ずつ「誰が・どこで・何に使うか」まで書いた一覧のことです。カメラマンはカット表を見て撮影の順番と時間配分を決めるので、当日の撮り漏れを防げます。
カット表のたたき台は、生成AIに作らせると早く進みます。ステップ1の一覧を貼り付けて、次のような短い指示から始めてください。
あなたは士業事務所のホームページ用写真の撮影を計画する担当者です。
事務所の概要:[士業の種類/有資格者の人数/主な取扱分野]
写真を使う場所:[ステップ1の一覧を貼り付け]
撮影に使える時間:[例:2時間]
この条件で、撮影するカットの一覧を表にしてください。
列は「カット名」「写る人」「場所」「使うページ」「縦長か横長か」「優先度」「写り込みで注意すること」です。
出てきた表は、そのまま使わず、次の点を人が確認して修正します。
- 実在する場所か:AIは事務所に無い「会議室」や「ライブラリー」を足すことがあります。実際にある部屋だけ残します
- 優先度:時間が押したときに削るカットが下位になっているか。代表者と相談室を最上位に置きます
- 写り込みの欄:執務室や打ち合わせ風景のカットに、書類・モニター・ホワイトボードの確認が入っているか
- 所要時間:1人あたりの撮影時間を足し上げて、撮影時間に収まるか。収まらなければカットを減らします
このあとは、AIと対話しながら、事務所の間取りや所員の予定に合わせて詰めてください。
ステップ3 業務広告の規定と守秘を確認する
ホームページに載せる写真と、その周りに添える言葉は、業務広告の規定に沿っているかを確認します。弁護士であれば、日本弁護士連合会が定める「弁護士等の業務広告に関する規程」が対象です。税理士・司法書士など、ほかの士業は資格ごとに広告の定めを置いている団体が違うので、自分の資格の連合会と所属する会で、規定の本文を確認してください。
写真そのものより、写真に添える肩書きやキャプションに注意が要ります。「◯◯専門」「実績多数」のような言葉を写真と一緒に載せる前に、規定の本文と所属会の運用を確認してください。解釈に迷う表現は、制作会社に任せきりにせず、所属会に問い合わせるのが確実です。
あわせて、守秘の観点から次の3点を決めます。
- 相談者役を誰が務めるか:打ち合わせ風景の相談者役は、所員か撮影用のモデルに依頼します。実際の依頼者には依頼しません
- 写してよい部屋と範囲:執務室は背景の棚まで写るため、ファイルの背表紙や机上の書類を撮影前に片づけます
- カメラマンの作品としての公開:カメラマンが自分の作品集やSNSに写真を載せてよいかを決めます。相談室の内部や所員の顔が事務所の外で公開されることになるためです
ステップ4 見積もりを依頼する文面を作る
見積もりは、ステップ1〜3で決めた条件を同じ文面で2〜3社に送ると、比べやすくなります。条件がそろっていないと、各社が別々の前提で見積もるため、総額の差の理由が分かりません。
件名:ホームページ用写真撮影のお見積もりのお願い
[カメラマン名/会社名]様
[事務所名]の[氏名]です。
事務所のホームページに使う写真の撮影について、お見積もりをお願いします。
■撮影内容
・代表者のプロフィール写真(縦長・横長)
・有資格者[人数]名の個別写真(同じ背景)
・相談室・応接室の写真
・打ち合わせ風景(相談者役は所員が務めます)
■撮影場所と時間
・事務所内([住所])、[時間]程度を想定しています
・撮影希望時期:[例:◯月中旬以降の平日]
■写真を使う場所
・事務所のホームページ
・名刺、事務所パンフレット
・士業向けの紹介サイトのプロフィール、セミナー告知
■お見積もりに含めていただきたい内容
・撮影費、出張費、レタッチの基本枚数と追加単価
・納品枚数と納品形式、データの保管期間
・上記の利用範囲で使う場合の著作権の扱い(譲渡か利用許諾か)
・撮影した写真を作品集やSNSに掲載されるかどうか
・キャンセル・延期の規定
ご不明な点があればご連絡ください。
よろしくお願いします。
ステップ5 撮影日を決めて当日の準備をする
撮影日は、所員全員がそろい、相談予約を止めても影響が小さい日に置きます。士業には業務が集中する時期があり、たとえば税理士事務所であれば所得税の確定申告の時期、社会保険労務士事務所であれば労働保険の年度更新と算定基礎届の時期は避けたほうが安全です。
当日の準備は、次のチェックリストで確認します。
- 机の上:書類・郵便物・付箋を片づけ、依頼者名が見える物を置かない
- モニター:電源を切るか、デスクトップの壁紙だけにする
- ホワイトボード:書き込みを消す
- 背景の棚:ファイルの背表紙に依頼者名や案件名が無いか確かめる
- 服装:記章(バッジ)を付けるかどうかを所員全員でそろえる
- 予約:撮影時間中の相談予約と来客を止める
- 同意書:写真に写る所員全員から、利用範囲と退所時の扱いについて同意を取る
この章の結論。使う場所の一覧とカット表を先に作れば、見積もりの条件がそろい、当日の撮り漏れも防げます。規定と守秘の確認は、撮影の前に済ませておく作業です。
契約前に確認する著作権と利用範囲
外部に撮影を依頼した写真の著作権は、著作権を譲り受ける契約をしなければ、撮影した側にあります。フリーのカメラマンならカメラマン本人です。写真スタジオや制作会社の社員が仕事として撮った場合は、会社が著作者になることがあります(著作権法第15条)。契約書で、誰が著作権を持っているかを確かめてください。事務所は写真を使う許可を受けている立場になるため、使える媒体や期間は契約の内容で決まります。
写真の著作権は誰のものになるか
写真は、著作権法が著作物の例として挙げているものの1つです(第10条第1項第8号)。著作物を作った人は、著作者として著作権と著作者人格権を持ちます(第17条第1項)。事務所がお金を払って依頼した写真でも、著作権を譲り受ける契約をしていなければ、事務所が持つのは「決められた範囲で使える権利」だけです。
著作権を譲り受ける契約にする場合も、書き方に注意が要ります。著作権法第61条第2項は、次のように定めています。
「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。」(著作権法第61条第2項)
つまり、契約書に「著作権を譲渡する」とだけ書いた場合、写真を元に別の作品を作る権利などは、カメラマン側に残ると推定されます。譲渡の契約にするなら、第27条と第28条の権利を含むことを明記してもらってください。
著作者人格権とは、作品を勝手に改変されない権利など、撮影した人自身に結びついた権利のことです。著作者人格権は譲渡できません(著作権法第59条)。トリミングや色の調整をあとで事務所が行う予定があるなら、「著作者人格権を行使しない」という条項を入れるかどうかを相談します。
契約書に署名する前に、次の2つを確認してください。
- 第27条・第28条の権利:譲渡の対象に含むことが明記されているか
- 著作者人格権を行使しない条項:条項が入っているかどうか
契約書で確認する項目の一覧
次の項目が契約書か見積書に書かれているかを確認します。書かれていない項目は、発注の前にメールで確認し、返信を保管しておきます。
- 著作権の扱い:譲渡か、利用許諾か。譲渡なら第27条・第28条の権利を含むか
- 使える媒体:ホームページ・名刺・パンフレット・紹介サイト・SNS・書籍・広告のどこまでか
- 使える期間:期限の有無。期限があるなら、その後の更新費用
- 使える主体:事務所が使えるのか、制作会社だけが使えるのか
- 加工の可否:トリミング・色調整・背景の変更をしてよいか。著作者人格権を行使しない条項の有無
- 納品:枚数・形式・画像サイズ、データの保管期間と再納品の可否
- クレジット表記:写真の近くに撮影者名を書く必要があるか
- 作品としての公開:カメラマンが作品集やSNSに写真を載せるかどうか
- キャンセル・延期:所員の急な欠席や、業務の都合による日程変更の扱い
制作会社の見積書全体で確認する項目は、ホームページ制作の見積書の読み方と確認点の一覧で解説しています。
所員が退所したときの写真の扱い
所員の個別写真は、退所したあとの扱いを撮影の前に決めておきます。決めていないと、退所した人の写真がホームページや紹介サイトに残り続け、依頼者が「この先生に相談したい」と連絡してくる状態になります。
所員から取る同意書には、次の内容を入れておくと、退所のときに迷わずに済みます。
写真の利用に関する同意書に入れる内容(例)
―――――――――――――――――
・写真を使う場所(ホームページ、名刺、パンフレット、紹介サイト等)
・写真を使う期間(在籍中)
・退所した場合、[例:退所日から1か月以内]にホームページと紹介サイトから削除すること
・印刷済みのパンフレットは、在庫がなくなるまで使う場合があること
・集合写真は、退所後も使う場合があるかどうか
あわせて、写真を載せている場所の一覧(ステップ1で作ったもの)を保管しておき、退所のときにその一覧を見ながら差し替えます。
この章の結論。写真の著作権は、決めなければカメラマン側に残ります。利用範囲・使える主体・退所時の扱いの3つを契約と同意書で決めておけば、写真を長く安心して使えます。
士業の写真撮影で起きやすい失敗と防ぎ方
士業の写真撮影で起きやすいのは、写真の出来栄えよりも、守秘・契約・所員の入れ替わりに関わる失敗です。どれも、撮影の前に決めておけば防げます。
執務室の撮影で依頼者の書類が写り込む
執務風景や打ち合わせ風景を撮るとき、机の上の書類、モニターの画面、背景の棚のファイルは、撮影中には目に入りにくいものです。公開してから、拡大すると依頼者の名前が読める写真が見つかると、ホームページから削除するだけでなく、カメラマンの作品集やSNSに同じ写真が載っていないかまで確認することになります。
防ぎ方は、ステップ5のチェックリストで撮影前に片づけることと、納品された写真を画面上で拡大して1枚ずつ確認することです。確認が終わるまで、カメラマンに作品としての公開を控えてもらうよう、依頼の段階で伝えておきます。
制作会社経由で手配した写真が、制作会社を変えると使えない
制作会社がカメラマンを手配した場合、写真を使う許諾が「制作会社が作るこのホームページでの利用」に限られていることがあります。この条件のまま、リニューアルで別の制作会社に依頼すると、代表者の写真を新しいサイトに使えるかどうかを、前の制作会社とカメラマンに確認することになります。
防ぎ方は、契約の時点で「使える主体」を事務所にしてもらうことです。制作会社経由で手配する場合でも、写真の利用範囲だけは事務所の名前で決めておくと、制作会社を変えても写真を使い続けられます。
退所した所員の写真が紹介サイトに残る
所員の写真は、ホームページだけでなく、士業向けの紹介サイトやセミナー告知にも使われます。ホームページの所員紹介は差し替えても、事務所の外のサイトに載せた写真は、どこに載せたかを誰も把握していないと残り続けます。
防ぎ方は、写真を載せた場所の一覧を1つの表で管理し、写真を新しい場所に載せるたびに一覧へ書き足すことです。退所の手続きの中に「写真の削除」の項目を入れておくと、担当者が変わっても漏れません。
繁忙期に撮影日を置き、所員がそろわない
撮影日を決めるときに業務の予定を見ていないと、確定申告期や年度更新の時期に撮影日が重なり、当日になって所員が欠席したり、撮影そのものが延期になったりします。延期の規定によっては、キャンセル料がかかります。
防ぎ方は、繁忙期を外して撮影日を置き、欠席者が出たときの別日の撮影を見積もりの段階で確認しておくことです。個別写真を別日に撮る場合は、背景と照明を最初の撮影と同じ条件にしてもらうよう伝えます。条件が違うと、所員紹介のページで1人だけ写真の雰囲気が変わってしまいます。
AI生成やフリー素材の人物を、所員や相談者のように載せる
撮影の費用を抑えるために、生成AIで作った人物画像やフリー素材のビジネスパーソンの写真を、所員紹介や相談風景として載せる方法があります。しかし、実在しない人物を事務所の所員のように載せると、面談に来た依頼者が写真と実際の担当者の違いに気づいたとき、事務所全体の説明を信用しにくくなります。広告の規定との関係もあるため、載せる前に所属会の規定で確認してください。
AIやフリー素材を使ってよいのは、人物ではない場面です。たとえば取扱分野のページで手続きの流れを示す図や、コラムの見出し画像がそれにあたります。素材の選び方はBtoBサイトの素材選びと自社らしさの出し方でも解説しています。
この章の結論。士業の写真撮影で防ぐべき失敗は、写り込み・利用範囲・退所時の扱い・撮影日の4つと、人物を実在の所員に見せかけることです。どれも撮影前の一覧と契約で防げます。
写真に添える氏名と代替テキスト
撮影した写真をページに載せるときは、写真の近くに氏名・資格・登録番号・担当分野を文字で書き、画像の代替テキストにも氏名と役割を入れます。文字で書いておくと、写真を見た人が、どの先生が何を担当するのかを確かめられます。
代替テキスト(alt属性)とは、画像の内容を文字で説明するための設定で、画像が表示されない環境や読み上げソフトでもこの文字が使われます。
<img src="/images/staff-yamada.jpg" alt="税理士 山田太郎(相続税担当)">
写真を入れ替えたあとに確かめられること
写真を入れ替えた効果は、「写真を見た人が、次のページへ進んだか」で確かめます。写真だけを変えても、取扱分野や料金の説明が同じなら、問い合わせの数が大きく変わるとは限りません。写真の役割は、依頼を検討している人が「この先生に相談してみよう」と決める最後の後押しです。
確かめる方法は、次の3つです。
- GA4(Googleのアクセス解析ツール)で、代表挨拶と所員紹介のページの閲覧数と、そこから問い合わせページへ進んだ数を、入れ替えの前後で比べる
- 問い合わせフォームか初回面談で、「ホームページのどのページを見て連絡したか」を確認する
- 面談の最初に、依頼者が写真の印象について話すかどうかを記録する
比べる期間には注意が要ります。士業の問い合わせは季節で増減するため、入れ替え直後の1か月と直前の1か月を比べると、季節の差を写真の効果と取り違えます。前年の同じ月と比べるか、少なくとも3か月は様子を見てから判断してください。
この章の結論。写真の効果は、プロフィールページから問い合わせページへ進んだ数で確かめます。季節の増減があるので、前年同月と比べるか3か月は様子を見てから判断します。
撮影を依頼するか迷ったときの判断の分かれ目
撮影にどこまで費用をかけるかは、依頼がどこから来るかで決まります。検索から初めて事務所を知った人が依頼を決めるなら、担当者の顔と相談室の写真が判断材料になります。紹介で来る依頼が中心なら、ホームページは紹介された人が確認するための場所なので、写真は最小限でも役目を果たします。
写真を最小限にしてよい条件
- 紹介経由の依頼が中心:ホームページは紹介された人が名前と所在地を確認する用途が主
- 企業の顧問契約が中心:依頼を決める担当者は、先生の人柄より事務所の体制や対応範囲を見る
- 開業直後で所員がまだいない:所員が増えた時点で、集合写真と個別写真を追加で撮影する
反対に、相続・離婚・債務整理・労務トラブルのように、個人が一人で悩んで検索するテーマを扱う事務所は、担当者の写真を取扱分野ページごとに載せる価値があります。相談する人は、どの先生が担当するのかを知ったうえで連絡したいと考えるためです。
見積書に出てこない事務所側の負担
撮影の見積書に出てくるのはカメラマン側の費用だけで、事務所の中で使う時間は含まれていません。「撮影費用の内訳と金額が変わる条件」の章の仮の例では、代表者と有資格者3人の計4人を撮影しました。ここではさらに、1人30分ずつ撮影に参加し、撮影前の片づけに2時間かかると仮定します。この場合、所員が撮影と準備に使う時間は延べ4時間ほどになります。撮影日の相談予約を止める分も考えると、撮影日を1日で終わらせる計画のほうが、事務所の負担は小さくなります。
もう1つ見落としやすいのが、同意書の用意と、写真を載せた場所の一覧の管理です。どちらも撮影のたびに作業が発生するので、担当者を決めておきます。
カメラマンに直接依頼するか、制作会社経由で依頼するかは、ページの構成が決まっているかどうかで分かれます。
- 構成が決まっていて、カット表を事務所で作れる場合:カメラマンに直接依頼すると、条件を細かく決められます
- 構成がまだ決まっていない場合:制作会社経由にすると、ページ設計に合わせてカットを決めてもらえます。この場合も、利用範囲の主体は事務所にしておきます
この章の結論。紹介と顧問契約が中心なら写真は最小限から、個人が検索して依頼するテーマが中心なら担当者ごとに撮影します。見積書に出ない事務所の時間も、撮影日の計画に入れて判断してください。
自社で行う範囲と依頼する範囲
事務所で行うのは、写真を使う場所の一覧、所員の同意書、広告の規定の確認、撮影日の調整です。どれも事務所の業務と所員の事情を知っている人でなければ決められません。スマホで足りる外観と道順の写真も、事務所で撮影できます。
外部に依頼するのは、人物と相談室の撮影、それにどのページにどの写真を置くかの設計です。ページの構成が決まっていない段階で撮影すると、あとから「このページに載せる写真が無い」ということが起きます。
写真を置くページから考えたい場合は、見せる相手から決めるホームページ制作で、どのページを誰に見せるかを先に決めてから制作する進め方もあります。
内製と外注の線引きを、ホームページ全体で考えたい方はホームページの内製と外注の判断軸が参考になります。
士業のホームページ写真についてよくある質問
顔を出したくない所員がいる場合、所員紹介ページはどうすればいいですか?
本人の意向を優先し、顔写真の代わりに氏名・資格・担当分野を文字で載せる形にそろえる方法があります。1人だけ写真が無いと目立つので、後ろ姿や手元の写真で統一するか、所員紹介は全員文字だけにして、代表者だけ写真を載せる構成にすると違和感が出にくくなります。
以前の制作会社が手配した写真を、リニューアル後のサイトでも使えますか?
当時の契約で決めた利用範囲によります。まず契約書や見積書で「使える主体」と「使える媒体」を確認し、書かれていなければ前の制作会社に問い合わせます。許諾が制作会社止まりなら、カメラマンに新しいサイトでの利用を依頼するか、撮影し直すかを費用で比べて決めます。
開業したばかりの行政書士事務所です。写真なしでホームページを公開してもいいですか?
公開はできますが、代表者の写真1枚だけは早めに用意するのがおすすめです。写真がないと、依頼を検討する人が誰に相談するのか分かりません。当面はスマホで明るい場所で撮影した写真を載せ、依頼が増えてきた時点でプロの撮影に差し替える進め方もあります。
撮影した写真のデータは、選ばなかったカットも含めて全部もらえますか?
全カットを納品するかどうかは、カメラマンごとに違います。補正前の写真や元データを納品に含めるかどうかも、カメラマンによって扱いが違います。あとで所員紹介を別のカットに差し替える可能性があるなら、見積もりの段階で「全カットの納品」と「データの保管期間」を確認しておきます。
まずは、事務所のホームページと紹介サイトに載っている写真が、いつ撮影したものか、退所した人が写っていないかだけ確かめてください。写真の入れ替えをリニューアルと一緒に進めるか迷う場合は、ホームページリニューアル費用の規模別の目安と追加費用の条件を先に読むと、判断しやすくなります。
写真を載せるページから考えるなら、どのページで誰の写真を使うかを先に決めると、撮影の範囲と費用も決めやすくなります。見せる相手から決めるホームページ制作では、どのページを誰に見せるかを決めてから、ホームページとLPを制作します。まずはお気軽にご相談ください。
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