士業のホームページ制作会社の選び方|見積もりの比べ方と確認項目
この記事の要点
- 選ぶ基準は広告規程の確認・公開後の更新・権利と解約の3点
- 費用差を生む条件は5つ。同じ依頼文で3社を比べる手順付き
- 契約前の確認は12項目。事例の同意と相談フォームが士業特有
士業のホームページ制作会社は、デザインの好みや金額の安さだけで選ぶと失敗しやすくなります。比べるのは、所属する会の広告の規程を踏まえて原稿を確認できるか、公開後に誰がどう更新するか、ドメインや原稿の権利と解約時の扱いの3点です。見積もりは、金額より先に、含まれる作業をそろえてから比べます。
弁護士・税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士の事務所で、制作会社を選んで費用を決める立場の方に向けた記事です。読み終わる頃には、3社に同じ条件で見積もりを依頼し、契約前の面談で確認する質問を決められる状態を目指します。
取扱分野ページの作り方や集客の設計は士業のホームページ集客と取扱分野ページの作り方で解説しています。この記事では、制作会社の比べ方と契約前の確認に絞ります。
Contents / 目次
士業のホームページ制作会社を選ぶ3つの基準と依頼先の違い
士業のホームページ制作では、次の3つを満たす制作会社を選びます。どれも、公開してから問題になる項目です。
- 広告の規程を踏まえた原稿の確認:弁護士なら「弁護士等の業務広告に関する規程」、ほかの士業も所属する会の会則や規則を、制作会社が原稿づくりの前提にできるか
- 公開後の更新の担当:お知らせ・解決事例・法改正の解説を、事務所で更新するのか、制作会社に依頼するのか
- 権利と解約の扱い:ドメインとサーバーの名義、原稿と写真の権利、WordPressなどの管理者権限が事務所に残るか
依頼先は大きく4種類に分かれます。どれが正解かは、事務所の人数と、更新に使える時間で変わります。
| 依頼先 | 向く事務所の条件 | 契約前に確認すること |
|---|---|---|
| 士業向けを掲げる制作会社 | 取扱分野ページの構成や広告の規程に慣れた相手に任せたい | 同業向けの文言が、自分の事務所の内容に書き換わるか |
| 一般のWeb制作会社 | 事務所の強みに合わせて構成から作りたい | 規程に照らす確認をどちらが担うか、原稿を誰が書くか |
| テンプレート型・月額型のサービス | ページ数が少なく、早く公開したい | 解約時にドメインと原稿を移せるか、契約期間の総額 |
| AIツールや作成サービスでの自作 | 所長か職員が、月に数時間を更新に充てられる | 規程の確認、SSL・フォーム・計測の設定を自分で行えるか |
月額型を検討している場合は、サブスク型ホームページ制作の総額の出し方と解約の注意点も先に確かめておくと、契約期間の総額で比べられます。
この章で押さえるのは、依頼先の種類より先に、規程の確認・更新の担当・権利の3点を自分の事務所でどうしたいか決めることです。そこが決まれば、どの依頼先が合うかは表から選べます。
士業のホームページ作成費用が変わる5つの条件
士業のホームページ作成費用は、デザインの作り込みだけで決まるわけではありません。原稿・写真・更新の仕組み・保守のどれを見積もりに含めるかで、同じページ数でも総額が変わります。金額の幅は地域・制作会社・ページ数で大きく変わるため、この記事では相場の数字を挙げず、内訳と条件で比べます。
| 条件 | 費用が上がる側 | 費用が下がる側 | 事務所で決めること |
|---|---|---|---|
| 業務・取扱分野ページの数 | 分野ごとに1ページずつ作る | 1ページにまとめる | 相談の多い分野から何ページ作るか |
| 原稿の作成 | 制作会社が取材して書く | 事務所が原稿を用意する | 所長が原稿を書く時間を確保できるか |
| 写真 | 所長・職員・事務所内を撮影する | 素材写真や手持ちの写真を使う | 所長の顔写真を載せるか |
| 更新の仕組み | WordPressなどで事務所が更新できる形にする | 更新はその都度、制作会社に依頼する | 月に何回、何を更新するか |
| 公開後の保守と計測 | 更新・バックアップ・SSL・計測を月額に含む | 保守の契約をしない | 表示の不具合に誰が対応するか |
金額だけを比べると、原稿を事務所が書く前提の見積もりが安く見えます。仮に、A社が60万円で取扱分野ページ5ページ(原稿は事務所が用意)、B社が80万円で同じ5ページ(取材と原稿の作成込み)と出してきたとします。1ページの原稿に3時間かかるなら、A社を選ぶと所長の15時間が別に必要です。ページ数をそろえたうえで、20万円の差と、所長の15時間のどちらが重いかで判断します。
写真の撮影を見積もりに入れるかは士業のホームページ写真の撮影費用の比べ方、見積書の項目名の読み方はホームページ制作の見積書の読み方で詳しく解説しています。
この章の結論は、見積もりの差の多くは、事務所と制作会社のどちらが作業を受け持つかの差だということです。5つの条件を先に決めておくと、次の章の手順で3社を同じ条件に並べられます。
制作会社を比べる5つの手順と契約前の確認12項目
制作会社を比べるときは、同じ依頼文を3社に送り、返ってきた見積もりを1つの表に並べ、面談で12項目を確認します。ここでは5つの手順に分けて進め方を示します。
ステップ1 依頼の条件を1つの文書に書き出す
前の章の5つの条件を、制作会社に送る依頼文として書き出します。所長のメモや事務所のパンフレットをAIに渡して下書きを作り、内容を確認してから使う進め方もできます。
【事務所の概要】
事務所名/所属会/所長と職員の人数
主な業務と、相談の多い分野(多い順に3つまで)
【作りたいページ】
トップ/事務所・所長の紹介/業務・取扱分野([ページ数]ページ)/料金
解決事例・お客様の声(掲載するかどうか)/よくある質問/アクセス/お問い合わせ
【分担】
原稿 :事務所で用意する/制作会社に取材を依頼する
写真 :撮影を依頼する/手持ちの写真を使う
公開後の更新:事務所で行う(月[回数]回程度)/制作会社に依頼する
【守ってほしいこと】
[所属会の広告の規程の名前]に沿った表現にすること
相談フォームの送信内容の保存先を、契約前に提示すること
【見積もりで分けてほしい項目】
初期費用の内訳(設計・デザイン・ページ制作・原稿・撮影・フォーム・計測の設定)
月額の内訳/別料金になる作業
【希望の公開時期】
[年月]
ステップ2 3社に同じ依頼文を送る
3社には、ステップ1の依頼文をそのまま送ります。社ごとに説明を変えると、見積もりの前提がずれて比べられません。電話や面談で追加の質問を受けたら、その答えをほかの2社にも同じように伝えます。
ステップ3 見積もりを同じ表に並べる
返ってきた見積もりは、項目ごとに「含む」「含まない」「別料金」を書き込んだ表にします。行は、依頼文の「見積もりで分けてほしい項目」と同じにします。空欄が残った項目は、その社に質問して埋めてから比べます。
ステップ4 面談で12項目を確認する
表で残った2社程度と面談し、次の12項目を確認します。答えはその場でメモし、ステップ5で契約書と照らします。
- 原稿の表現を所属会の広告の規程と照らすのは、制作会社か事務所か
- 同業向けの定型の文言を、事務所の内容に書き換えるか
- 解決事例・お客様の声を載せるとき、依頼者の同意をどの形で取る前提か
- 相談フォームの送信内容は、どのサーバーやサービスに保存され、誰が見られるか
- ドメインとサーバーの契約名義は事務所になるか
- 原稿・写真・デザインを、公開後に事務所が自由に使えるか
- WordPressなどの管理者権限を事務所に渡すか
- 事務所で更新できるページはどれか(お知らせ・解決事例・コラムなど)
- 見積もりに含む修正の回数と、超えたときの費用
- 月額の保守に含む作業(本体とプラグインの更新・バックアップ・SSL証明書の更新・不具合の対応)
- 問い合わせの件数を、GA4のキーイベントとして数える設定を含むか
- 解約するとき、データ一式を受け取り、ドメインを移せるか
10番のSSL証明書は、CA/Browser Forumの決定(Ballot SC-081v3)により、2026年3月15日以降の発行分から有効期間の上限が200日になりました。年額の契約でも1年の間に入れ替えが要るため、更新を誰が行うかを保守の項目で確かめます。9番の修正回数は、ホームページ制作の修正回数と追加費用の決め方を参考にすると、契約書に書く文言まで決められます。
ステップ5 確認した答えを契約書に残す
面談で口頭で答えてもらった内容は、契約書か発注書に書いてもらいます。特に5・6・7・12番は、解約するときに初めて必要になる項目です。契約書に書かれていなければ、追記を依頼してから署名します。弁護士の事務所は、規程の第11条で、広告に関する業務を委託した事業者との契約書や、依頼者の同意を証する書面などを、広告が終了してから3年間保存することになっています。制作会社との契約書と発注書も、事務所で保管してください。
この章で押さえるのは、比べる材料を同じ依頼文と同じ表でそろえ、面談の答えを契約書に残すことです。ここまで進めば、金額の差がどの作業の差なのかを説明できる状態になります。
業務広告の規程と、士業のサイト制作でつまずく3つの条件
士業のホームページは業務の広告にあたります。規程が対象にしているのは士業本人の広告なので、制作会社が書いた文言でも、公開すれば事務所の広告として扱われます。
弁護士の場合は、日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」(会規第44号)が基準です。勝訴率の表示は規程の第4条第1号で禁止されています。過去に取り扱った事件を載せるには、原則として依頼者の同意が要ります(第4条第4号)。同意の形は「書面」とされていましたが、2025年12月5日の規程の一部改正により、2026年4月1日から「書面又は電磁的方法」になりました。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士の事務所も、所属する会が会則や規則で広告について定めていることがあります。正式な名前と条文は所属会で確かめ、制作会社に渡してください。
解決事例の同意の取り方を決めずに進めると、公開直前に事例ページが空になる
デザインと構成が先に進み、事例ページの枠だけが用意される進め方では、公開の直前になって同意を取れる事例が無いと分かることがあります。事例ページが空のまま公開するか、公開を延ばすかの選択になります。
防ぐには、契約前に掲載したい事例の候補を3件ほど挙げ、同意を取る文書の形式を決めておきます。弁護士なら、同意を書面か電磁的方法で残す前提で、依頼者に送る文面も制作と並行して用意します。
定型の文言やAIで書いた原稿を使うと、規程に合わない表現が残る
同業向けのテンプレートやAIで書いた原稿には、「地域No.1」「必ず解決」のような、根拠を示せない言い切りや比較の文言が入ることがあります。所長が忙しく原稿を読み込まずに承認すると、そのまま公開されます。
公開前には、全ページの原稿を規程と照らす時間を取ります。AIを確認の補助に使う場合は、次のようなたたき台から始め、事務所の状況に合わせて詰めてください。
あなたは士業事務所のホームページの原稿を点検する担当です。
次の原稿から、[所属会の広告の規程の名前]に照らして確認が必要な表現を抜き出し、
表にしてください。列は「該当する文」「確認が必要な理由」「書き換え案」です。
判断できない文は「判断できない」と書いてください。
[原稿を貼り付け]
AIの結果は確認する候補の一覧として使い、条文と照らして最終的に判断するのは所長です。AIが挙げなかった文が問題ないとは限りません。
相談フォームの項目を決めずに作ると、相談内容の保存先が分からなくなる
相談フォームで相談内容を詳しく書いてもらうほど、機微な情報がフォームのサービスや通知メールに残ります。保存先を確かめないまま公開すると、誰がその内容を見られるのか、事務所で説明できません。
防ぐには、フォームの項目を連絡先・相談分野・希望の日時にとどめ、詳しい内容は面談で伺う形にします。保存先の確かめ方は問い合わせフォームの送信データの保存先と個人情報の扱いで解説しています。
この章で押さえるのは、3つとも制作の終盤に表に出るため、契約前に事務所の方針を決めておく必要があるということです。12項目の1〜4番が、この3つに対応しています。
事務所で行う作業と制作会社に依頼する作業
士業のホームページ制作では、内容の判断は事務所、作る作業と公開後の保守は制作会社、と分けるのが基本です。
- 事務所で行う作業:相談の多い分野の順位づけ、所長の経歴と方針の原稿(または取材への回答)、規程に照らした最終確認、事例を載せる依頼者の同意、公開後のお知らせの更新
- 制作会社に依頼する作業:ページの構成の設計、デザインと実装、フォームと計測の設定、SSLを含む保守、依頼する場合は原稿の取材と執筆
構成から公開後の更新の仕組みまでをまとめて任せたい場合は、ホームページ制作・LP制作もご相談いただけます。事業・顧客・掲載情報を確認して原稿とページ構成、デザインを作成し、社内で更新するページは操作をご案内します。公開時にはお知らせを1件、担当者と一緒に投稿します。問い合わせの件数をGA4で月ごとに記録しておけば、公開の前後で比べられます。
士業のホームページ制作でよくある質問
士業専門の制作会社に依頼すれば、広告の規程の確認は任せてもいいですか?
確認の手伝いは任せられますが、最終的な判断は事務所で行ってください。規程が対象にしているのは士業本人の広告です。制作会社には規程の名前を伝えて原稿を作ってもらい、公開前に所長が全ページを読んで承認する流れにすると安心です。
弁護士事務所のホームページに解決事例を載せるには、何を準備すればいいですか?
依頼者の同意を、書面か電磁的方法で残すことから準備します。日本弁護士連合会の規程は、過去に取り扱った事件を広告に載せるとき、原則として依頼者の同意を求めています。同意の形は書面とされていましたが、規程の一部改正で、2026年4月1日から電磁的方法による同意も認められています。あわせて、依頼者や相手方が特定されない書き方にし、同意を得た文面のまま掲載します。
税理士事務所で紹介ポータルに登録していれば、自分のホームページは要りませんか?
紹介ポータルは相談を受ける入口として使えます。事務所の方針や料金を、事務所で決めた構成と文章で載せるには、自社のホームページが要ります。費用と役割の比べ方は税理士の紹介ポータルと自社サイトの費用の比べ方で解説しています。
法人化や事務所名の変更を予定しているときは、制作を待ったほうがいいですか?
時期が決まっているなら、新しい名前でドメインを取ってから制作すると、URLの変更を避けられます。時期が未定なら先に公開し、変更時に旧URLから新URLへ転送します。Googleはサイト移転の説明で、転送を一般的に1年以上続けるよう勧めています。
まずは、所属する会の広告の規程の名前と、相談の多い分野を3つ、メモに書き出してください。これが依頼文の最初の2行になります。契約後の更新と解約まで見て制作会社を比べたい方は、公開後の更新・保守・解約で差が出る制作会社の確認項目も続けて読んでみてください。
依頼文は作れたものの、構成の決め方や見積もりの読み比べを事務所だけで進めるのは難しいと感じた方は、見積もりの段階から相談できるホームページ制作の窓口からお気軽にご相談ください。いまの事務所の状況を伺い、どのページから作るかを一緒に決めます。詳しい内容はリンク先のページでご確認ください。
個別のご相談
サービスの選び方やご依頼について、ご相談いただけます。
相談する