中小企業のホームページ制作費用|社内で用意する素材と内訳
この記事の要点
- 制作費の内訳は7項目と、公開後に毎月・毎年かかる費用
- 見積もりの差は、素材を誰が用意する前提かで生まれる
- 素材の一覧と、契約前に送る質問文を本文に掲載
中小企業のホームページ制作費用は、ページ数と、原稿・写真・ロゴといった素材を社内でどこまで用意できるかで大きく変わります。同じ10ページのサイトでも、原稿を制作会社が書く見積もりには原稿作成や取材の行があり、社内で用意する前提の見積もりにはその行が無いことがあります。金額を比べる前に、内訳の項目と素材の分担をそろえることが先です。
制作会社への依頼を検討している経営者・役員・院長・施設長の方に向けた記事です。読み終わる頃には、社内で用意する素材と担当者を決め、各社の見積もりを同じ前提で比べられる状態を目指します。
この記事で扱うのは、次の4つです。
- 制作費の内訳
- 社内で用意する素材
- 任せる作業と社内に残る作業
- 契約前の確認
金額の相場は、ページ数や依頼する作業の内容で大きく異なるため、この記事では扱いません。扱うのは、金額が変わる仕組みです。
見積書の1行ずつの読み方はホームページ制作の見積書の読み方で詳しく解説しています。
Contents / 目次
中小企業のホームページ制作費用の内訳。制作費の7項目と公開後の費用
ホームページ制作費用の内訳は、企画・設計、デザイン、ページ制作、原稿作成、写真・画像、機能、公開・初期設定の7項目に分かれます。これに、公開後に毎月・毎年かかる費用が加わります。
ディレクション費とは、ページの構成を決め、関係者の確認を取りながら公開まで進める進行管理の費用です。見積書では「企画・設計」「進行管理」と書かれることもあります。
| 項目 | 何に対する費用か | 金額が動く条件 | 社内で用意すると変わるか |
|---|---|---|---|
| 1. 企画・設計(ディレクション) | ページ構成、誰に何を伝えるかの決定、進行管理 | 打ち合わせの回数、確認する役員の人数 | 掲載内容を社内で先に決めると、打ち合わせが減る |
| 2. デザイン | トップページと下層ページのデザイン | テンプレートか独自デザインか、デザイン案の数、修正回数 | 変わりにくい。ロゴの元データと会社の色の指定があると修正が減る |
| 3. ページ制作 | ページの組み込み、WordPressなど更新の仕組み | ページ数、お知らせ・実績など社内で更新する欄の数 | ページ数を絞ると減る |
| 4. 原稿作成 | 文章の執筆、取材、校正 | 取材の有無、原稿を書くページ数 | 社内で書けば、この行が無くなるか、校正費だけになる場合がある |
| 5. 写真・画像 | 撮影、素材写真の購入、画像の加工 | 撮影の日数、撮影する場所の数 | 社内で撮った写真で足りるページは減る |
| 6. 機能 | 問い合わせフォーム、予約、採用エントリー、多言語 | 機能の数、外部サービスとの連携 | 通知先や返信の担当を社内で決めておく必要がある |
| 7. 公開・初期設定 | ドメイン・サーバーの設定、SSL、GA4とSearch Consoleの設定、旧サイトからの転送 | 新規かリニューアルか、旧サイトのページ数 | 契約情報とアカウントを社内で用意すると早く進む |
| 公開後の費用 | サーバー・ドメインの料金、保守、更新代行 | 保守に含む作業、更新の頻度 | 社内で更新するページが多いほど、更新代行は減る |
見積もりの差は「素材を誰が用意する前提か」で生まれる
2社の見積もりの金額が大きく違うとき、作業の単価より、前提にしている分担が違うことがあります。A社は原稿作成と撮影を含め、B社は「原稿・写真は支給」として、その2行を入れていない場合です。
仮に、原稿作成を1ページあたり2万円とします(計算の仕組みを示すための仮の数字で、相場を示すものではありません)。10ページなら、原稿作成の行だけで20万円の差になります。B社が安く見えても、社内で10ページ分の原稿を書く時間を足すと、比べる前提が変わります。
公開後の費用は、制作費とは別に毎月・毎年かかります。保守に含まれる作業はホームページ保守の費用相場と月額に含む作業で一覧にしています。
原稿や写真を社内で用意する時間が取れず、どのページに何を載せるかから相談したい場合は、ホームページ制作・LP制作で、掲載内容の確認から依頼いただく進め方もあります。原稿は、ヒアリングで伺った内容をもとに弊社が作成し、掲載する写真・図版も一緒に選びます。事実・固有名詞・数字・言葉づかいは貴社にご確認いただきます。写真撮影は制作に含まないため、ご希望の場合は初回のご相談で伺います。
この章の結論。見積もりを比べる前に、原稿作成と写真の行が含まれているかを確かめます。含まれていない見積もりは、社内で用意する作業の分だけ前提が違います。
社内で用意する素材の一覧と準備の手順
社内で用意する素材は、制作会社では代わりに用意できないものと、費用を払えば制作会社に任せられるものに分かれます。会社概要の正式な情報、取引先の掲載許可、ドメインの契約名義は、社内でしか用意できません。
| 素材 | 社内で用意するもの | 用意できないときに起きること | 担当の例 |
|---|---|---|---|
| ロゴ | 元データ(ai・svg・eps など) | 名刺の画像からロゴを再作成する費用がかかる | 総務 |
| 会社概要 | 正式名称、所在地、設立年、代表者名、許認可番号 | 制作会社では正しいか判断できない | 総務 |
| 事業・サービスの説明 | 対象のお客様、提供内容、依頼の流れ、料金の決まり方 | 取材と執筆が原稿作成費に加わる | 営業責任者 |
| 実績・事例 | 取引先の掲載許可、写真、作業の内容 | 許可が取れず、実績ページを公開できない | 営業担当者 |
| 写真 | 社屋、作業の様子、人物(写る方の同意) | 撮影費か、素材写真の購入費が加わる | 各部署 |
| 代表メッセージ | 代表が伝えたいこと(箇条書きでよい) | 取材して原稿にする費用が加わる | 代表 |
| よくある質問 | 電話や問い合わせで実際に受ける質問と答え | 一般的な質問しか載らない | 受付・営業担当者 |
| 契約とアカウント | ドメイン・サーバーの契約者情報、Googleビジネスプロフィールのオーナー | 制作会社の名義で契約され、後で移管が必要になる | 総務 |
ステップ1。掲載するページを先に決める
素材を集める前に、ページの一覧を決めます。ページが決まらないまま素材を集めると、使わない写真の撮影や、載せる場所の無い原稿が生まれます。中小企業のコーポレートサイトなら、トップ、事業・サービス、実績、会社概要、問い合わせを基本に、採用やよくある質問を必要に応じて足します。
ページごとに「誰が読み、読んだあと何をしてほしいか」を1行で書いておくと、制作会社との最初の打ち合わせがその一覧から始められます。
ステップ2。素材ごとに担当者と提出期限を決める
素材の一覧に、担当者と提出期限を書き込みます。担当者が決まっていない素材は、提出が後回しになり、制作会社の確認待ちが生まれます。次の受け渡し表をそのまま使えます。
【素材の受け渡し表】
ページ名|素材|社内の担当者|提出期限|状態|備考
トップ|キャッチコピーの案|代表|○月○日|未着手|
事業・サービス|サービスごとの説明(箇条書き)|営業責任者|○月○日|作成中|
実績|掲載許可を取った事例3件と写真|営業担当者|○月○日|許可待ち|取引先2社に確認中
会社概要|正式名称・所在地・許認可番号|総務|○月○日|完了|
写真|社屋外観・作業の様子|総務|○月○日|撮影日を調整中|写る方の同意を取る
全体|ロゴの元データ|総務|○月○日|探している|見つからなければ制作会社に相談
全体|ドメイン・サーバーの契約者情報|総務|○月○日|完了|
ステップ3。原稿はAIで下書きを作り、事実は担当者が確認する
サービス説明や会社紹介の原稿は、生成AIで下書きを作り、事実を担当者が確認する進め方で、社内の作業時間を短くできます。AIに渡すのは、営業資料や見積書の説明文など、社内にすでにある材料です。下書きの例を示します。あとはAIとやり取りしながら、自社の状況に合わせて修正してください。
あなたは中小企業のホームページの原稿を下書きする担当です。
次の材料だけを使って、[サービス名]のページの原稿を書いてください。
・対象のお客様:[業種・地域・会社の規模]
・提供する内容:[箇条書き]
・ご依頼から納品までの流れ:[箇条書き]
・料金の決まり方:[例 現地調査のあとに見積もり]
条件
・材料に無い数字・実績・資格は書かず「[要確認]」と書く
・見出しは「こんな方へ」「サービス内容」「ご依頼の流れ」「よくある質問」
・1段落は3文まで
下書きを制作会社に渡す前に、担当者が次の点を確認します。
- 数字:創業年、施工件数、対応地域が社内の記録と合っているか
- 資格・許認可:名称と番号が正式な表記か
- 取引先名:掲載の許可を取った会社だけか
- 表現:「業界No.1」「必ず」など、根拠を示せない言い切りが無いか
- [要確認]:AIが空けた箇所がすべて埋まっているか
景品表示法は、商品やサービスの内容を「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」を優良誤認表示として禁止しています(消費者庁「優良誤認とは」)。AIの下書きは言い切りが強くなることがあるため、表現の確認は担当者が行います。
ステップ4。写真は撮影が要るものと社内で撮れるものに分ける
トップページの大きな写真や代表の写真は、撮影を依頼したほうが印象が安定します。作業の様子や商品の写真は、スマートフォンで社内で撮っても使える場合があります。撮影の日数と場所の数で費用が変わるので、依頼する写真を一覧にしてから見積もりを取ります。撮影やデザインを外部に依頼した場合、写真やデザインの著作権は、契約で譲渡を決めない限り、撮影・制作した側にあります。チラシや会社案内にも使う予定があるなら、使える用途を契約前に確かめます。
ステップ5。ドメイン・サーバー・アカウントの名義を自社にする
ドメインとサーバーは、自社の名義で契約するか、制作会社が代行する場合も契約者を自社にするよう依頼します。GA4は自社のGoogleアカウントを「管理者」に、Search Consoleは自社のGoogleアカウントを「所有者」にします。公開後に制作会社を変えるとき、名義が自社にあれば移管の手続きが少なく済みます。
この章の結論。会社概要・掲載許可・契約名義は社内でしか用意できません。原稿と写真は、社内で用意するか依頼するかを素材ごとに決め、その分担で見積もりを取ります。
任せる作業と社内に残る作業。契約前に確認する質問
原稿・撮影・公開作業まで制作会社に任せても、事実の確認、掲載の決裁、公開後の問い合わせへの返信は社内に残ります。任せる作業を決めるときは、社内に残る作業を担当できる方がいるかも一緒に確かめます。
| 作業 | 制作会社に任せられること | 社内に残ること |
|---|---|---|
| 掲載内容 | 構成案の作成、同業他社の掲載内容の調査 | 何を載せるかの最終決定と決裁 |
| 原稿 | 取材、執筆、校正 | 事実の確認、取引先の掲載許可 |
| 写真 | 撮影、画像の加工 | 撮影日の調整、写る方の同意 |
| 公開作業 | ドメイン・サーバーの設定、SSL、計測の設定 | 契約名義、支払い、アカウントの管理 |
| 公開後 | 保守、更新代行 | お知らせ・実績の更新、問い合わせへの返信 |
社内で原稿を書く時間が月に数時間も取れない会社は、原稿と撮影を含めて依頼すると、社内の原稿を待つ時間が減ります。ただし、制作会社の取材日程や確認の往復によっては、公開までの期間が短くならないこともあります。
逆に、営業資料が充実していて担当者が決まっている会社は、原稿を社内で用意する分担が合います。
社内で用意する作業と依頼する作業の比べ方はホームページの内製と外注の判断軸でも解説しています。
トップと数ページの簡単なサイトなら、AIのサイト作成ツールで社内で作る選択肢もあります。ただし、問い合わせフォームの通知、ドメインの設定、公開後の更新方法までを社内で担当できるかが条件になります。進め方はAIでホームページを作る5ステップで紹介しています。
見積もりを依頼するときに送る質問
各社に同じ質問を送ると、回答から含まれる作業の違いが分かります。次の文面をメールに貼って使えます。
お見積もりにあたり、次の点を教えてください。
1. 原稿作成費には、何ページ分の執筆と取材が含まれていますか。
社内で原稿を用意した場合、どの項目が減りますか。
2. 写真撮影は含まれていますか。含まれる場合、撮影の日数と場所の数を教えてください。
3. 素材の提出が遅れた場合、公開日と費用はどう変わりますか。
4. デザインの修正は何回まで見積もりに含まれていますか。
5. ドメインとサーバーは、どちらの名義で契約しますか。
6. 公開後に社内で更新できるページはどれですか。更新方法の説明は含まれますか。
7. 公開後の月額には、どの作業が含まれていますか。
8. 契約を終えるとき、サイトのデータとアカウントは引き継げますか。
9. 撮影した写真や制作したデザインの著作権は、納品後にどちらが持ちますか。自社で使える用途を教えてください。
同じ質問への回答と、素材の分担をそろえた見積もりが届けば、金額の差を項目ごとに比べられます。修正回数の決め方はホームページ制作の修正回数と追加費用で詳しく書いています。
この章の結論。依頼する作業が増えても、事実の確認と公開後の更新は社内に残ります。担当者を決めたうえで、同じ質問を各社に送って見積もりを比べます。
制作費用が膨らむ条件と防ぎ方
制作費用が見積もりより膨らむのは、素材の提出、原稿の分担、契約名義、補助金の日程のどれかで、前提が契約後に変わったときです。それぞれ、起きる条件と防ぎ方をまとめます。
素材の提出が遅れると、公開日が延びて追加費用になることがある
「素材は後で出します」のまま着手すると、制作会社はデザインやページ制作の途中で確認待ちになります。契約に素材の提出期限と、遅れた場合の扱いが書かれていると、期間の延長や進行管理の追加費用が発生することがあります。
防ぐには、受け渡し表で担当者と期限を決めてから契約し、提出期限を契約書の日程と合わせます。実績の掲載許可のように取引先の返事を待つ素材は、早めに依頼を始めます。
見積書に原稿作成の行が無いのに、文章も依頼できると考えてしまう
見積書に原稿作成の行が無い場合、原稿は支給される前提になっていることがあります。着手後に原稿を依頼すると、その分が追加費用になります。
見積書の段階で「原稿作成」「取材」の行があるか、無ければ誰が書く前提かを確かめます。前の章の質問の1番目は、この確認のための文です。
ドメインを制作会社の名義で取得したまま公開する
制作会社がドメインを制作会社の名義で取得すると、公開時には問題が出ません。しかし、制作会社を変える、保守契約を終える、といったときに、ドメインの名義の変更や移管の手続きが必要になり、費用がかかることもあります。手続きが進まないと、同じドメインでリニューアルできないこともあります。
契約前に名義を確かめ、すでに制作会社の名義になっている場合は制作会社を変える前のドメインの確認と依頼文を参考に、移管の条件を確かめます。
補助金の採択を前提に日程を組むと、交付決定まで発注できない
小規模事業者持続化補助金では、補助の対象は交付決定日以降に発注・支払いした経費です。また、ウェブサイト関連費だけでは申請できません。採択を見込んで先に発注すると、その費用は対象外になります。
補助金を使う場合は、交付決定の時期から逆算して制作会社との契約日を決めます。上限額や対象経費は公募ごとに変わるため、中小企業庁の公募要領の公開ページ(一般型・通常枠 第20回)や、各地区の補助金事務局のサイトに載っている最新の公募要領で確かめてください。
ここで挙げた4つは、どれも契約前に確かめられます。見積もりの金額だけで決めず、素材の期限・原稿の分担・ドメインの名義・補助金の日程を契約書と照らし合わせてください。
この章の結論。費用が膨らむのは、契約後に前提が変わったときです。素材の期限、原稿の分担、契約名義、補助金の日程の4点を契約前に決めれば、見積もりとの差は小さくなります。
中小企業のホームページ制作費用でよくある質問
見積書に「原稿支給」と書いてあったら、全ページの文章を社内で書かないといけないの?
原則は社内で用意する前提です。ただし、箇条書きの材料を渡せば文章にしてくれる会社もあります。「どの程度の材料なら対応できるか」「原稿にする作業を追加するといくらか」を契約前に確かめると、後からの追加費用を防げます。
ロゴの元データが見つからず、名刺の画像しかない場合はどうなる?
名刺を印刷した会社や、ロゴを作ったデザイナーに元データが残っていることがあります。見つからなければ、制作会社が画像から再作成することになり、その費用が加わります。見積もりの段階で、元データが無いことを伝えてください。
ホームページの制作費用は、支払った年に全額を経費にできる?
制作の内容や、効果が続く期間によって扱いが変わります。自社のサイトがどの扱いになるかは、支払いの前に顧問の税理士に確認してください。判断の考え方はホームページリニューアル費用の勘定科目と資産計上の判断基準で解説しています。
中小企業のホームページは、何ページから作り始めればいい?
トップ、事業・サービス、実績、会社概要、問い合わせの5ページ前後が、始めるときの基本の構成の例です。お知らせや実績を社内で更新できる仕組みにしておけば、ページは公開後に増やせます。最初から多くのページを作るより、素材をそろえられるページに絞るほうが費用を抑えられます。
まずは社内で、ロゴの元データと、ドメインの契約者が誰になっているかの2点だけ確かめてください。見積もりを受け取ったあとはホームページリニューアルの進め方と期間で、公開までの日程を組む目安を確認できます。
素材の分担や見積もりの比べ方を自社だけで決めるのが難しいと感じた方は、いまの状況を伺うところからご相談いただけます。ホームページ制作・LP制作では、目的、必要なページ、原稿や写真の準備、必要な機能を確認し、制作内容・役割分担・日程・費用をご提案します。他社のお見積もりの確認については、ご希望の場合は初回のご相談で伺います。詳細はリンク先のページでご確認ください。
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